以下に紹介する文章は、「監視社会ならん!市民ネット沖縄」が12月3日に、宜野湾市の佐喜眞淳市長、沖縄市の桑江朝千夫市長に郵送し、県内マスメディアに連絡したものです。
宜野湾市長 佐喜眞 淳様
監視社会ならん!市民ネット沖縄 代表世話人 上江洲由美子
若者を戦場へ送る自衛隊の適齢者名簿提供に対する抗議
自衛隊沖縄地方協力本部の依頼に対し宜野湾市、沖縄市が住民基本台帳から自衛隊適齢者の個人情報を、名簿として提出したことが、10月25日付の琉球新報、11月3日付沖縄タイムスで報道されました。両市は18歳から27歳未満の2万4千人分の氏名、生年月日、住所、性別を地本に提供したといいます。このことは市民の生命、財産、人権を守るべき自治体が、若者を戦場へ送ることに加担するものであり、決して看過することはできません。憤りをもって抗議します。
貴市は、「関係法令を参照した結果、提供を拒む理由もない」としていますが、憲法13条で個人の尊重の理念のもとにプライバシー権=自己情報コントロール権が保障されています。沖縄県個人情報保護条例は、その前文で「個人に関する情報は、基本的人権の保障及び個人の尊重の理念に基づき、最大限保障するべきものである」とし、このような認識のもとに、「県の機関が保有する個人情報を個人自らがコントロールする権利を実効的に保障し、個人利益の保護を図るため、この条例を制定する」とうたっています。貴市の個人情報保護条例に照らしましても、本人及び家族の同意なく個人情報を外部提供することは同条例第8条2項に反するものです。自治体の自衛隊への「適齢者名簿」の提供は、自衛隊法施行令120条に基づくとされますが、これは「資料」の提供であり、個人情報の明記はありません。したがって、防衛省の求めに応じ「名簿」を提供する義務はありません。
今年は、沖縄戦から70年の節目の年です。安倍政権は、この節目の年に、こともあろうに安保法制=「戦争法」を強行成立させました。憲法を踏みにじり集団的自衛権を容認、アメリカとともに戦争ができるこの「戦争法」に対し多くの若者が反対の声をあげました。強行成立後も廃止の声は広がるばかりです。高校生の間では、自衛隊の勧誘文書が送られてくると「赤紙が来た」と不安が広がっていると伝えられています。経済格差が進み、非正規、低賃金で困窮する若者が増えています。「戦争法」と軌を一にして「マイナンバー」法が施行されました。マイナンバーによって個々人の経済状態を把握することができ、貧困層を狙って自衛隊へ勧誘するいわゆる「経済的徴兵制」への懸念が高まっている状況にあって、本人の同意もなく個人情報を自衛隊へ提供することは許されません。私たちは、若者を戦場へ送る自衛隊への名簿提供に抗議するとともに貴市は同意なく個人情報を自衛隊へ提供された市民に謝罪し、名簿提供を止めるよう強く求めます。