2015年6月7日
社会保障・税一体改革担当大臣 甘利 明 様
厚生労働大臣 塩崎 恭久 様
監視社会ならん!市民ネット沖縄
代表世話人 上江洲由美子
年金情報漏えい事件に抗議し、マイナンバー制度の廃止を求める声明
日本年金機構は6月1日、年金情報約125万件が流出したと発表しました。サイバー攻撃を受け、ウイルスメールによる不正アクセスで流出した情報は、沖縄、和歌山、東京の3施設で125万件に上ります。そのうち6割に当たる74万3千件が沖縄の個人情報が含まれているということです。
今回の事件は、私たちが指摘してきたように政府の個人情報の管理に対する危機感の乏しさ、杜撰さを浮き彫りにしました。年金番号を含む個人情報の漏えいは、プライバシーの侵害だけでなく、「なりすまし」など情報が悪用される危険性があります。
5月8日にウイルス感染が確認されたにもかかわらず、年金機構は、情報流出を隠蔽し続け、被害対策として運転免許証の提示など本人確認の徹底を始めたのが、流出公表の翌日6月2日からです。漏えいした約125万件の番号の変更には時間がかかるといいます。国民の不安、政府への不信感は拭えません。
年金機構の個人情報漏えい事件を受けて甘利明社会保障・税一体改革担当大臣は、6月5日の記者会見で、マイナンバーと年金情報の連携について「事件の検証を踏まえて導入時期を考える」と述べ、10月個人への番号通知、2016年1月からのマイナンバー利用開始のスケジュールの変更はしない、全体に影響はないと強調しています。
マイナンバー制度は、税、社会保障だけでなく医療情報、貯蓄や株保有に至るまで国民の個人情報を連携し、国が一元管理できるシステムで、情報が漏えいした場合の被害は計り知れないものがあります。しかも、セキュリティー関係会社の調査によると、マイナンバー制度の開始を間近に控え、準備を手掛けていない企業や地方自治体が8割以上あることが報道されています。また、マイナンバー導入時に、サイバー攻撃などへの対策を「何も決めていない」が38.5%あることが分かっています。
このような状況にあって、政府がスケジュールを強行するのは何故でしょうか。「秘密保護法」「盗聴法」の改悪など政府は、国民の管理・監視体制を強めています。そのために「国民総背番号」としてマイナンバーを必要としているからではないでしょうか。
私たちは、政府機関の杜撰な管理体制によって多大な個人情報が漏えいした今回の事件に怒りをもって抗議するとともに、更なる甚大な被害が予想されるマイナンバー制度を廃止するよう強く求めます。