キャンプ・シュワブ・ゲート前での抗議行動の拠点となっているテントを撤去させようと、日米両政府が居丈高に乗り出している。沖縄総合事務局・北部国道事務所と県警が連携し、強制撤去に乗り出すことを警戒して、26日は終日ゲート前に多くの人が集まった。深夜になっても50名以上の人が泊まり込みで警戒にあたったため、翌27日の朝まで強制撤去の動きはなかった。
しかし、沖縄総合事務局は夜間に入って「巡回」と称し、15分ごとに数名でテント前を往復する行為を朝までくり返した。テントから数十メートル離れた場所にマイクロバスや車両を数台止め、20名ほどの職員が交代で「巡回」にあたっていた。安倍政権が沖縄総合事務局に直々に圧力をかけ、強制排除を虎視眈々と狙っている。
夜が明けてもこれ見よがしに制服を着て「巡回」は行われている。北部国道事務所の大城純一副所長がテント前にやってきて、テントの撤去を求める文書を読み上げたあと、職員が立て看板に掲示していた。
ゲート前では泊まり込みのメンバーに夜明けとともにやって来たメンバーも加わり、沖縄防衛局や海上保安庁、海上工事関係者が乗った車両のチェックと抗議行動が、いつものように行われた。そのあと集会が開かれ、いつテントの強制撤去が始まってもおかしくない、と緊張を持って警戒にあたることが呼びかけられた。
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集会の間に米軍の水陸両用車が次々とキャンプ・シュワブに入っていった。国道を我が物顔に走っていることに抗議の声が上がったが、キャンプ・シュワブや北部訓練場のゲート前に立っていると、米軍が沖縄を軍事植民地のように扱っている実態を見せつけられる。
抗議する住民を嘲笑している米兵たちの中には、イラクやアフガニスタンのように銃を突きつけられないのを不満に思っている連中もいるだろう。米軍基地は兵器の訓練をするだけの場所ではない。敵と見なした人を殺傷できるように人格を改造する場所でもある。
沖縄に住んでいても、ふだん目にする米兵はTシャツにジーンズ姿で町中を歩いていたり、仲間や家族で食事をしていたりする姿がほとんどだ。戦闘服を着て演習をしている姿は、キャンプ・ハンセンやキャンプ・シュワブ、北部訓練場のゲート前に足を運ばなければ見る機会は少ない。なおかつ彼らに面と向かって抗議の意思を示さなければ、兵士としての本来の姿はその一端すら見られない。そのことを高江で実感した。
山城博治さんがキャンプ・シュワブの警備員に不当拘束された件が示すように、在沖米軍が反基地運動を潰すために前面に出てきている。大型連休中の訪米を予定している安倍首相は、米軍の姿勢に迎合するだけでなく、米政府に辺野古の成果を示すため弾圧を強化するだろう。都合がつく時間帯にぜひ多くの県民がキャンプ・シュワブ前の抗議行動に参加してほしい。
海の方では26日から県の水産課が、コンクリートブロックの設置によるサンゴの損傷を調べるため潜水調査を始めている。それにぶつけるように沖縄防衛局は、同日早朝に海底ボーリング調査用の資材を積んだクレーン付台船を新たに大浦湾に入れている。
昨年夏のスパッド台船をはじめとして、この間、作業船はメディアが取材しやすいように辺野古弾薬庫のゲート前から見える場所に姿を見せる。作業が進んでいることを県民に見せつけて、あきらめを誘う効果を狙っているのだろう。だが、基地の被害を実際に受けている者に、あきらめという選択肢はない。もしあきらめたように見えるとすれば、それは心のより深いところで怒りが憎しみに変わっていくということだ。
それは日米両政府にとってベストでもなければベターでもなく、ワーストの結果をもたらすだろう。力で抑え込んでどうにかなると考えるなら、安倍首相と菅官房長官はあまりにも傲慢であり、かつ愚かである。