2月2日の大浦湾では先週から引き続き、大型トンブロックの投入が、海上保安庁の弾圧に支えられて進められた。この日は大浦湾の北側、汀間漁港からカヌチャベイホテルの沖に設置されたオイルフェンスの近くに、クレーン付き大型台船2隻(第十白洋号と海王丸)を使って20トンのコンクリートブロックが沈められた。
オイルフェンスの内と外には海保のゴムボートや船が並び、海上作業に抗議する市民が乗ったカヌーや船を弾圧し続けた。いまや海保は大浦湾埋め立て工事を進めるための海の警備会社に成り下がっている、としか言いようがない。
午前中、最初はカヌーメンバーも2隻の船に分乗してオイルフェンスの中に入った。海保の規制を受けて外に出たあと、いったん瀬嵩の浜に戻った。浜ではキャンプ・シュワブのゲート前から駆けつけてくれた皆さんから激励を受けた。少し休憩をとってからカヌーチームはカヌー8艇で再び出発し、ゲート前のメンバーは海上作業と抗議行動がよく見える場所に移動して声援を送っていた。
午前の後半から午後にかけて、大型台船が移動するのにあわせてオイルフェンス沿いを移動し、2度オイルフェンスの中に入って抗議行動を行った。少ないメンバーではあったが、1回目には大型台船の周辺を囲むフロートの近くまで行ったメンバーもいた。最後は8名全員が海保に拘束されたが、海保の保安官がカヌーに飛び下りて転覆させる場面もあった。
カヌーよりも海保のゴムボートが多い中で、わざとカヌーを転覆させて乗っている市民を海に落とし、海水を飲ませてダメージを与えるというやり方がくり返されている。海中に沈んだ際に海水が気管に入ればどうなるか。冬の海では心臓マヒを起こすことも考えられる。周辺を走り回っている海保のゴムボートと衝突する危険もある。それを承知でわざとカヌーを転覆させるのだから、海保の言う「安全確保」がいかにまやかしであるかが分かる。
また、海保のゴムボートがカヌーの正面に突っ込んで衝突する場面もあった。意図的にやったものであり、カヌーに乗っていたメンバーは後ろに倒れて、危うく怪我をするところだった。手漕ぎのカヌーに頑丈なゴムボートをぶつけるのは、陸上なら自転車に自動車をぶつけるようなものだ。もし転覆して海に落ち、ゴムボートのスクリューに巻き込まれていたらどうなったか。
さらに海保は、ゴムボートに乗せて拘束したカヌーメンバーを、トンブロックの作業現場から遠く離れた長島、平島の北東、航路標識から200メートル以上離れた沖まで連れて行き、そこからカヌーに乗せて放置しようとした。この日は大浦湾にしては波が静かだったが、平島の北側はリーフが発達し白波が立つ危険な場所の近くである。
時間は午後4時に近く、朝からカヌーに乗り続けたメンバーは疲れているうえに、海保のゴムボートに乗せられて体も冷えきっていた。そういう状態を承知の上でカヌーに乗せて戻そうとした海保の行為は、嫌がらせと言うには悪質かつ危険すぎる。1月30日にはカヌーメンバーからパドルを奪い取って海に投げ捨てた海上保安官がいた。それに匹敵するかそれ以上の非常識さである。
これまで海保はカヌーメンバーを確保した際、市民船に戻すか辺野古の浜や瀬嵩の浜に戻していた。沖まで連れて行ってそこでカヌーに乗せ、放置しようとしたのは初めてである。こういう行為のどこが「安全確保」なのか。沖まで強制的に運んだのは海保であり、もし転覆事故などがあればすべて海保の責任である。海保の現場責任者はその程度の判断力もないのか。
海保がゴムボートからカヌーに移るよう指示したのに抗議し、拒否したカヌーメンバーもいた。あとから来た船のメンバーからも海保に強い抗議が行われた。一方で海保に、すぐ船が迎えに来る、と言われてカヌーに乗せられ、危険な状態に置かれたメンバーもいた。米軍基地を造るためにかり出され、反対する市民には手荒なことをしてもいい、と安倍政権から指示を受けているのかもしれないが、海保の悪質極まりない嫌がらせを許すことはできない。