30日は早朝、ゲート前で警察に抗議しているマイクの声がテント村2まで聞こえてきた。ゲート前では24時間の警戒態勢が続いていて、寒さや雨に耐えながらブルーシートのテントで寝泊まりしている人も多い。森の向こうから聞こえるマイクの音を聞きながらカヌーでの抗議行動の準備をした。
午前8時50分頃、カヌー17艇とゴムボート1隻、船3隻で瀬嵩の浜を出発した。大浦湾を分断したオイルフェンスに向かう途中、浜から100メートルほど離れた場所にあるサンゴを眺めながらカヌーを漕いだ。カヌーチームに参加していなかったら、瀬嵩の浜のこんな近くにこういうサンゴがあるということを知らなかっただろう。埋め立て工事によって湾の環境が変化すれば、このサンゴも死んでいくかもしれない。
瀬嵩側のオイルフェンスの近くまで行くと、海が澄んでいるので底に落とされたアンカーが見える。これは鋼板アンカーのようだが、29日付の琉球新報が、昨年の台風19号の影響で、沖縄防衛局が設置したフロートを係留していたアンカーが、大量に無くなっていたことを明らかにしている。
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-238041-storytopic-271.html
台風が起こした波でフロートが浜に打ち上げられた際、重さ160キロの鋼板アンカー83個のうち41個が行方しれず。爪型のダンフォースアンカー165個のうち79個が行方しれずのままという。台風19号のあと打ち上げられたフロートを片付けながら、海ではあちこちで潜水作業をしていたのだが、半数近くを見つけることができなかったわけだ。フロートに引きずられて海底のサンゴを傷つけてもいる。
沖縄防衛局は大量のアンカーが流されてサンゴを破壊しただけでなく、今度は大浦湾にコンクリートブロックの大型アンカーを投入することでさらなる破壊に手を染めている。クレーン付きの大型台船が移動を始めたので作業現場近くに向かうと、先に着いていたカヌーチームのメンバーを海上保安庁のゴムボートが次々と拘束していった。臨時制限水域の外でも作業現場に近づけば拘束して排除する。まさに海保に守られて大浦湾の破壊作業が進められている。
カヌーにつけられたロープを掴んで遠くまで運び去ろうとする海保のゴムボートを船で追い、カヌーメンバーの一人が海に飛び込んで仲間を取り返そうとした。海保のゴムボート2隻が急速で接近し、市民の船に乗り込んで規制を始めた。船のメンバーや周りにいたカヌーのメンバーで抗議して拘束が解かれたが、海保はわざと時間をかけてカヌーを遠くまで運び、抗議行動を封じ込めようとしている。
午前10時前になって雨が降り出したこともあり、いったん瀬嵩の浜に戻って休憩をとることになった。ちょうどキャンプシュワブのゲート前から抗議行動に参加している皆さんが応援に駆けつけたところで、浜で交流を持った。山城さんの好きな歌を合唱し盛り上がった。これからどんどん激励に来たい、という言葉をもらって午前の第2弾の行動に出た。
オイルフェンスの外にいても拘束されるなら、外にいても中にいても同じではないか、ということでカヌーと船でオイルフェンスを越えて作業船に向かい、抗議行動を行った。30日はクレーン付き大型台船でトンブロックを沈め、別の作業船で大型ブイを運んで設置する作業が行われていた。海保のゴムボートによる拘束と排除がくり返されたが、その過程でカヌーのパドルを奪い取って海に投げ捨てた海上保安官がいた。
パドル(櫂)がなければカヌーを漕ぐことができず、波に流されるしかない。横波を受ければ転覆の可能性もある。パドルはカヌーにとって命の綱であり、嫌がらせとしてもまったく非常識で、漕ぎ手を危険にさらす悪質な行為だ。オイルフェンスのそばでそのことに強く抗議を続けた。海保の現場責任者の山田という人物と話し合い、こちらがそのときの状況を撮った映像を示したため、海保の責任者はパドルを投げ捨てた事実を認めた。日頃、「安全確保」を理由に不当拘束を行っている海保が、パドルを奪い取って海に投げ捨てる、というのはいくら感情的になったとはいえ許されるものではない。
全国からかき集められた海保の保安官たちは、自分たちが大浦湾で何をやっているか考えてみるべきだ。沖縄に米軍基地を押しつけ、70年もその負担に苦しめてきた上に、さらに新しい基地を造って苦しめ続けようとしている。今なぜ沖縄県民が新基地建設に反対し、沖縄差別という声を上げているのか、よく考えてみるがいい。海の破壊者となるために海保の職員となったのか。
30日は午前中で海上での抗議行動を終え、昼食と片づけをすませたあと、キャンプ・シュワブのゲート前に行って、そこで抗議行動を行っている皆さんと交流した。海から上がって着替えずに行ったので吹きつける風が寒かったが、ゲートに出入りする米軍車両を見て怒りが湧いてならなかった。この島の軍事植民地状況はいつまで続くのか。