13日は午前、午後と二度にわたって辺野古崎南側のスパッド台船に対し、カヌー隊で抗議行動を行った。キャンプ・シュワブのゲート前から抗議行動の参加者が激励にかけつけ、辺野古の浜で行動を見守った。辺野古の浜にはカンパで送ってもらった新品のも含めて、25艇のカヌーが並んだ。毎週日曜日の午前9時半から辺野古の浜でカヌーの練習を行っているが、平日にも次々にやってくる希望者に練習・指導が行われている。新入りメンバーもまじえて30名ほどがスパッド台船を目ざして浜を漕ぎ出した。
朝から浜にカヌーがずらりと並び、人も大勢集まっていれば、海上保安庁もスパッド台船への抗議行動があることはすぐに気づく。集会の間から海保のボートが少し離れた場所で様子をうかがっていたが、浜を漕ぎ出すと同時に近くに寄ってきて、フロート方向に向かうな、進路を変更しろ、と圧力をかけ始めた。13日はいきなり、フロートから300メートル以内は制限水域だから入るな、と言いだした。これまではフロートの近くにある黄色いブイの内に入るな、と言っていたのが、突然立ち入り制限水域を拡大してきた。
カヌー隊や船のメンバーから、フロートから300メートルを制限する法的根拠を示せ、いつどこで変更が決まったのか?なぜ300メートルなのか?などの質問が飛んだが、ボートの海保はまったく答えきれないばかりか、いきなり先頭のカヌーを不当拘束した。黄色のブイまでは200メートル以上の距離があり、前日までは当たり前のように航行できた地点だ。これまで自分たちがやってきた規制の基準を簡単にひっくり返して、先に鈎の付いた棒でカヌーを引き寄せると、乗っていたカヌー隊員を力づくでボートに引き上げた。さらに、仰向けにして3人がかりで羽交い締めにし、腕や体を押さえ付けて暴力剥き出しの弾圧を続けた。
すぐにほかのカヌーや船が駆けつけて、メンバーを解放するように抗議したが、海保はそれを無視してメンバーを2時間半ほど拘束し続けた。さらに他のカヌー隊メンバーに対しても、黄色いブイの外側であるにもかかわらず、次々と不当拘束をくり返した。前日はフロートのそばを漕いでも拘束していない。一夜にして制限水域を拡大し、不当拘束を強行したのは、そこまでやらなければカヌー隊を抑えられない、と判断したのだろう。
9日の大行動でカヌー隊やプカプカ隊、船のメンバーや報道陣までフロートを越えて中に入り、数名がスパッド台船までたどり着いたことに、海上保安庁は面目を潰されたと思ったのだろう。自分たちが辺野古の海、大浦湾の埋め立てに手を貸し、新しい軍事基地建設のための「沿岸破壊隊」と化していることや、相次ぐ暴力で怪我人を出していることは反省しないで、カヌー隊への弾圧をエスカレートさせている。フロートからカヌー隊を300メートル離さなければ安心できないとは、海保も心理的に追いつめられたものだ。
そこにはまた、沖縄県民の抵抗を力づくで抑え込もうという安倍政権の意思がある。埋め立て工事を1日も早く実行して県民にあきらめムードを作り出し、辺野古の問題は過去の問題として県知事選挙の争点からはずすためにも、辺野古の海と陸でくり広げられている抗議行動を圧殺しようとしている。現場で抗議行動が続けられることによって、辺野古の新基地建設問題はまさに現在進行形の問題であり続ける。そして、抗議行動があるからこそ、日本政府・防衛省の強硬な姿勢、沖縄差別の実態が浮き彫りになり、県民は新たに関心をかき立てられる。
これから陸と海でくり広げられている抗議行動への圧力はさらに強まるだろう。しかし、暴力的弾圧や刑事特別法で脅せば、抗議行動が沈静化すると思うなら大きな間違いだ。自分の損得を抜きにして、子や孫のために、沖縄のために、地域社会と自然のために、という思いで行動している人たちは、あきらめないし打たれても簡単にへこたれはしない。