6月2日は旧暦の5月5日(グンガチグニチ)で母とともにハーウガミ(井泉拝み)を行った。那覇・首里では井泉をカーと呼ぶが、今帰仁村ではK音がH音に変化しハーと読んでいる。「風が吹く」は首里・那覇では「カジフチュン」というが今帰仁村では「ハジプチュン」となる。
父方の祖父が旧岸本(キシムトゥ)部落の出身だったので、ハーウガミは同部落の人たちがかつて使っていたヤナジガーで行っている。かつては同部落の出身者が集まり、ハーのそばで持ち寄ったご馳走をウサンデーして歓談したというが、今は私の家族以外に訪れる人は見られない。年に一度、カーの周りを清掃して手を合わせている。
井泉の神へのウガン(拝み)なので、ウコー(お香)には火をつけない。酒や花米、ご馳走を供えて、家族やシマ(部落)の安全、繁栄をお願いする。ヤナジガーは今は枯れているが、底の土は湿っているので掘れば水が湧いてきそう。そばを流れるウプンジャーガーラ(大井川)は梅雨時で水量があり、放流された鯉が数匹泳いでいた。「魚群記」や「風音」「群蝶の木」などに描かれている川は、この川の下流域が原風景になっている。ただ、護岸工事や道路建設によって今は子どもの頃の面影はない。