実家の庭でセンカクツツジが咲いている。花の盛りは4月初旬だったが、まだ少し薄紫の花が残っている。尖閣諸島・魚釣り島の固有種で、右翼団体が放ったヤギの食害で島の環境悪化が指摘され、環境省のレッドデータブックで絶滅危惧種に指定されている。この木は園芸店で購入したもの。
オバマ大統領が来日し、尖閣諸島が日米安保条約の適用対象である、と日米共同声明で打ち出した。これをもって、尖閣諸島で何かあれば米軍が守ってくれる、と受け止めるなら、お人好しすぎるだろう。大統領であれ連邦議会の議員であれ、有権者の支持なくして武力行使に踏み切ることはできない。ヤギしか棲んでいない沖縄のちっぽけな無人島のために米国の若者が命をかけ血を流す。そういうことを米国の有権者が支持するかどうか、少し考えれば答えは明らかだろう。
尖閣諸島をめぐって武力衝突が起これば、沖縄の観光業は大打撃を受け、沖縄経済全般が危機的状況となる。2001年9月11日の米国への自爆攻撃によって、修学旅行をはじめとして沖縄観光のキャンセルが相次いだ。米軍基地が集中する沖縄も狙われる、という不安が広まったからで、これを契機に「観光は平和産業である」ということが沖縄の観光業者から言われるようになった。仮に尖閣諸島で軍事的緊張が高まれば、その影響は9・11の比ではない。
領土問題を軍事強化によって解決しようとするのは、自分たちには火の粉が飛んでこない、という立場にいるからこそできることだ。沖縄からすれば、日本・米国・中国・台湾のいずれの軍事強化にも反対しなければ、尖閣諸島をめぐる紛争で犠牲になるのは自分たちである。他国の脅威を煽って軍事強化を進めれば、相手も同じことをやる。排外的ナショナリズムを煽り、勇ましい発言で自己陶酔するのは愚の骨頂である。