4月16日に東京で「普天間飛行場負担軽減進作業部会」の第2回会合が開かれ、沖縄から高良倉吉副知事や又吉進知事公室長らが参加している。会合では沖縄県が求めている普天間飛行場の運用停止に関し、2019年2月までに実現することで、県と国の認識が一致したという。
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-223678-storytopic-53.html
普天間飛行場の運用停止と言うからには、滑走路の使用を停止し、普天間基地に所属するMV22オスプレイをはじめとした航空機の飛行もなくなるのだろう。日米両政府は辺野古への「移設」という名の新基地建設を強行する構えだが、完成には早くても9年かかるとされている(注1)。4年の空白期間を埋めるためには、米軍は県外か国外に普天間基地の部隊を一時的に移転しなければらない。
そうやって県外・国外に移転が可能なら、どうして辺野古に新たな「代替施設」を造らなければならないのか。仲井真弘多知事がいまでも「県外移設の公約は変わらない」と言うのなら、一時移転する地に「移設」を求めればいいではないか。そういう疑問の声があがるのは自然なことだ。
しかし、米軍には一時移転する考えなどない。3月25日に米太平洋軍のロックリア司令官は、上院軍事委員会の公聴会で〈代替施設が完成するまで米軍普天間飛行場の機能を維持し、使用を継続する意向を明言〉(3月27日付沖縄タイムス電子版)している。
http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=65588
4月10日には在日海兵隊トップのウイスラー司令官も同趣旨の発言をしている。
http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=66693
昨年12月17日の沖縄政策協議会で、仲井真知事が政府に要請した〈普天間飛行場の5年以内の運用停止〉という主張は、県民を欺くための虚妄でしかない。仲井真知事は選挙に勝つための方便として「県外移設」を公約に掲げ、安倍晋三政権が誕生すると、待ったましたとばかりに政府と交渉を重ねてきた。そして、政府が自民党県連に圧力をかけて外堀を埋めてくれるのを待ち、年末に公約を投げ捨てて辺野古埋め立てを承認した。そういう自らの県民だましを少しでもごまかそうと〈普天間飛行場の5年以内の運用停止〉を持ち出したのだろうが、それは欺瞞を重ねることでしかない。
それにしても高良副知事は、どういう気持ちで16日の作業部会に参加したのだろうか。米軍高官の発言を見るまでもなく、〈5年以内の運用停止〉が不可能なことを分からないほど、高良副知事は愚かではないはずだ。高良副知事が歴史から学んだのは、政治に権謀術数はつきもの、というマキャベリアニズムなのか。政府とともに県民を欺く茶番劇を演じることに、何のやましさも感じないのか。〈2019年2月までに実現する〉という言葉の虚しさを知りながら与えられた役をこなしているなら、情けないかぎりだ。
歴史の鏡は、沖縄の政治につらなる事大主義者の新たな1人を映し出すだろう。
(注1)工事期間は以下の記事を参照。
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-216956-storytopic-3.html