5月14日付琉球新報に〈宮古島海保職員/部下の顔を殴打/容疑で書類送検〉という記事が載っている。内容は以下の通り。
〈第11管区海上保安本部(一条正浩本部長)は13日、部下の男性(42)の顔などを十数回殴打したとして暴行容疑で、宮古島海上保安部所属の巡視船機関長=当時=の男性海上保安官(57)を那覇地検に書類送検した。
11管によると、2月17日未明、那覇港に着岸中の巡視船内で男性海上保安官は、勤務時間外に同僚職員12人と規則で禁止されている飲酒をしていた。その際、男性海上保安官は部下の1人に対し、日ごろの業務内容などを叱責し、頭や顔などを十数回にわたり手のひらで殴打したという。部下にけがはなかった。11管の調べに、男性海上保安官は容疑を認めているという。厳正に調査した結果を踏まえ、処分を検討するとしている〉。
この事件とは別に、宮古島の海保は4月12日に緊急会見を開き、20代前半の職員3人が自宅や浜辺で大麻を使用したとして、懲戒免職処分にしたことを発表している。3人は同じ巡視船の乗組員で使用を認めていたが、嫌疑不十分で不起訴になっている。前代未聞の不祥事としか言いようがない。
宮古島の海保は、昨年11月にも男性職員が酒気帯びで交通事故を起こして逮捕され、停職5か月の処分を受けている。
ほかにも、昨年末から今年初めにかけて、巡視船・巡視艇の乗組員10人が新型コロナウイルスに感染しているが、8人は飲酒を伴う会食で感染したと報じられている。
これだけ事件や問題が多発するのはなぜなのか。新型コロナウイルスの感染拡大でストレスを受けているのは海保だけではない。同僚への暴力や巡視船内での飲酒、大麻使用、酒気帯び運転は、法令や基本的ルールさえ守れないほど職員の質が低下しているということだ。ただ、これは個人の問題にとどまらず、規律を確立できない組織上の問題だ。
これらの記事を見ながら、以前、いじめを苦にして自殺した自衛官や、職場内の暴力で死亡した自衛官の裁判を傍聴した時のことを思い出した。
自衛隊内部のいじめや暴力問題は深刻で、とりわけ海上自衛隊の艦船内でのいじめは、逃げ場がないため自衛官が精神的に追い詰められ、自殺につながりやすい、という記事や発言に接した。
同じことは海保にも言えるのではないか。同じ乗り物に乗って行動する海保は、海軍と同じく上意下達の命令系統が厳しいはずだ。放置すれば、自衛隊のいじめ問題と同じことが起こる(すでに起こっている?)のではないか。