安倍政権が辺野古新基地建設工事の再開に向けて動き出した。〈石井啓一国土交通省に対して行政不服審査法に基づく審査を請求し、処分が出るまで撤回の効果を止める執行停止を求めた〉(2018年10月18日付琉球新報)。安倍首相と玉城知事の面会が行われたのは12日だ。1週間も経たずして…、というより、1度は会っておいた、というアリバイ作りだったわけだ。
県知事選挙で示された8万票の大差という民意を踏みにじるだけではない。沖縄では今日から那覇市長選挙が3日攻防に入り、県議会では県民投票についての論議がなされている。そんなのどうでもいい、という姿勢をあえて示すことで、安倍政権の「本気度」を強調したということだ。なりふり構わないその姿勢は、機動隊や海保という暴力装置を前面に出して、これからも工事を強行するという宣言でもある。
沖縄が憲法や民主主義の番外地に置かれている状況は、いまに始まったことではない。選挙でどういう結果を出しても政府は一顧だにしない。そういう姿勢を示すことで、沖縄県民を無力感と絶望感に陥らせ、何をやっても国には勝てない、という諦めを植えつける。これまでもくり返されてきた日本政府の手法だが、では、安倍政権の沖縄に対する凶暴な姿勢を許しているのは誰なのか。
安倍首相も管官房長官も分かっているのだ。沖縄からどれだけ怒りと反発の声が上がっても、大半の日本人=ヤマトゥンチューが行動を起こすことはなく、政権への支持率が低下することもない。だから平気で沖縄に基地を押しつけ、暴力を行使することができる。
沖縄県知事選挙から元気や希望をもらったというなら、全国各地で辺野古の工事再開を止める行動を起こしてもらいたい。行政不服審査制度を国が使う問題は、多くの専門家から批判されてきた。にもかかわらず再度その手法を使う。専門家も市民もそこまで安倍政権になめられているのだ。行動しなければ何も変わらない。