辺野古新基地建設をめぐって大きな問題となっているのが、高さ制限の問題だ。米国では航空機の安全を保つために、滑走路から2286メートルの範囲に、45・72メートルの高さ制限が設けられている。辺野古新基地の標高8・8メートルを足すと、54・52メートルより高い建物が範囲内にあってはいけないことになる。
ところが、辺野古区、豊原区にある多数の公共施設や民家などが、その高さ制限に引っかかることが明らかになっている。辺野古小・中学校(上の2枚の写真)や久辺郵便局、豊原地区公民館などの公共施設が7施設、民家やアパートなど71戸が高さ制限を超え、危険な状態に置かれている。
https://ryukyushimpo.jp/news/entry-746948.html
高さ制限を超える公共施設には、国立沖縄工業高等専門学校も入っている。校舎や学生が暮らす寮が、米国の基準では許されない危険地帯に建っていることになる。もちろん、高専側に問題があるのではない。米国の基準違反が生じることを知りながら、新基地建設を強行している日本政府・沖縄防衛局の側に問題がある。
http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/234419
http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/247126
米国の基準に照らせば、辺野古新基地はもともと造ってはいけない施設なのだ。米国では許されないことが、どうして沖縄では許されるのか。沖縄県民、とりわけ子どもたちや学生たちの安全はどうでもいいのか。
高さ制限については、8月31日に沖縄県が行った辺野古埋め立て承認撤回の根拠の一つになっている。沖縄県知事選挙に立候補している候補者のうち、玉城デニー候補は撤回を支持し、新基地建設阻止を公約に掲げているのだから、高さ制限についての見解は自ずから明らかだ。しかし、さきま淳候補は辺野古新基地建設について争点ぼかしに終始し、賛否を明らかにしていない。
さきま候補は、普天間基地の返還を主張し、宜野湾市の子どもたちの安全を強調している。では、辺野古の子どもたちの安全についてはどう考えているのか。日本政府と「協調」して普天間基地返還を進めるとは、すなわち辺野古新基地建設を推進するということだ。さきま候補は、久辺小・中学校や国立沖縄高専が高さ制限を越えていることを承知で、工事を進めるつもりか。
さきま候補は宜野湾市と辺野古の子どもたちの命と安全を差別し、二重基準で対応するつもりなのか。沖縄県知事に立候補するからには、宜野湾市の子どもたちのことだけでなく、全県的立場に立って、辺野古の子どもたちのことも考えないといけない。
さきま氏は辺野古新基地の高さ制限の問題について、自分の考えを明らかにすべきだ。子どもたちの命と安全をないがしろにして、県知事の仕事は務まらない。無視してすまされる問題ではない。