10日(木)は予定があったのでカヌーは休み、1回目の資材搬入に抗議するゲート前の座り込みに参加した。新基地建設で儲かってるのか、生コンのミキサー車は新車が目立つ。今日も列をなしてゲート前に並び、渋滞を引き起こした。
座り込む市民を機動隊が強制排除し、歩道に設置した檻に閉じ込める。そうやって力尽くで工事を進める光景が、2014年の7月からくり返されている。機動隊という国家の暴力装置に頼らなければ進められない工事なのだ。明治の「琉球処分」以降、日本政府が沖縄にふるってきた暴力と差別が、いまも変わることなく辺野古で日々行われている。
生コンと一緒に今日も大量の砕石が運び込まれた。K4護岸を完成し海を囲い込むために、捨て石用の石材として使用されるものだ。ほかにも砂利や砂、パイルなど各工事現場で使われる資材が運び込まれた。
日本の安全のために沖縄を犠牲にする。そのことに無関心であること、黙っていること、傍観していること。日本人の多数が示すその姿勢が、日本政府の沖縄に対する横暴を支えている。1週間の500人集会が開かれた後こそ大事なのだ。成功した、と喜んで終わりではいけない。
アルソック(綜合警備保障)が警察と一体となり、歩道で抗議している市民を囲い込み、弾圧に手を貸していた。機動隊の代わりを果たしているわけだが、民間の警備会社が何様のつもりだろうか。
オリンピック選手を前面に出して宣伝しているが、実態は沖縄を食い物にして新基地建設を支えている悪質な企業でしかない。
午前10時半頃、辺野古漁港から護岸工事の様子を確認した。海岸線で進められている仮設道路工事では、根固め用袋材を下ろす作業が行われていた。近くには絶滅危惧種のオキナワハマサンゴがあり、移植が行われていないにもかかわらず、工事を強行している。
沖縄防衛局がやることはいつもこうだ。これで環境保全を口にするのだから、どれだけ恥知らずなのか。稀少サンゴだけが問題なのではない。仮設道路によって昨年まで海亀が産卵していた砂浜が海からさえぎられた。そのために辺野古の海に来た海亀は、浜に上がれない状況となっている。貴重な自然の砂浜をこの工事が破壊したのだ。
K3護岸からK4護岸に曲がったあたりでは、クレーン車が捨て石投下の準備をしていた。今日はカヌーの数が少なかったようだが、それでもオイルフェンスを越えたメンバーが海保のゴムボートで松田ぬ浜の近くまで運ばれていた。
近くではカヌーの初心者練習も行われていた。辺野古の海を守るために、ぜひカヌーや抗議船で海に出て、目の前の工事に直接抗議してほしい。カヌーはバディ、班を組んでチームで行動しているので、初心者は全体で配慮し、守ります。
午前11時半から、新基地建設問題を考える辺野古有志の会とティダの会で、沖縄防衛局の名護事務所を訪ねた。希少種の貝・サンゴウラウズの保護と護岸工事の即時中止を求める申し入れを行ったが、申し入れ文を以下に引用して紹介したい。
世界で一族一種の貝サンゴウラウズを守るために護岸工事及び埋め立てを即時中止することを求める申し入れ
大浦湾は多様な生態系が狭い水域に形成されています。絶滅危惧種262種を含む5800種以上の生物や天然記念物のジュゴンが確認されています。辺野古の海には、ジュゴンが食む藻場が70ヘクタールに広がっています。現在この藻場を埋め立てる護岸工事が強行されています。このままではジュゴンが食む藻場が消滅します。国の天然記念物ジュゴンを守るためには(ママ)護岸工事及び埋め立てを即時中止することを求めます。
一方、大浦湾には貝だけでもこれまでの調査で1000種が確認されています。調査にあたった専門家は辺野古周辺海域には、さらに調査を進めれば3、000種にのぼる貝が棲息するものと報告しています。過去における大浦湾と辺野古の海の調査で国内で初めて8種の貝が確認されました。その中にサザエの仲間、世界で一属一種の貝、サンゴウラウズが確認されました。発見された地域は辺野古先(ママ)とされております。世界で一属一種というのは佐渡のトキと同じ貴重な存在です。このような生態系は世界に誇るべき市民・県民にとってかけがえのないすばらしい海です。今進められている辺野古の新基地建設で貴重なハマサンゴを守るために、その周辺では、埋め立て工事を中断しています(注)。ましてや世界で一属一種の貝、サンゴウラウズの棲息地とされる辺野古先(ママ)を含む大浦湾・辺野古の海の護岸工事及び埋め立て工事を即時中止することを求め申し入れとします。
注:現在は工事が行われている。
沖縄防衛局の武藤(課長補佐)という 人物が対応したが、辺野古岬付近をはじめ護岸工事をしている場所では、工事の前に希少種の海底生物は移植している、と説明していた。調査した範囲では、サンゴウラウズは発見できなかったとも述べていた。
移植のあとの生存状況や、移植後に海底生物が移動してきた場合などについては、きちんと答えることができなかった。私の方では、高江の希少植物や昆虫などの移植について触れながら、移植がどれだけ成功するのか、失敗したらどうするのか、移植が環境保全であるかのような欺瞞策で工事を進め、環境を破壊することなどを批判した。
辺野古岬付近の稀少サンゴを移植しないまま、汚濁防止膜を四重にしてK4護岸工事を進めていることについて、汚濁防止膜が海底の藻場を破壊している問題を追及した。沖縄防衛局は現状の把握もろくに行っていないのが分かった。
辺野古岬付近に設置されている青いいかだについて、稀少サンゴとの関係を尋ねると、サンゴの位置については明らかにできない、と言いつつ、保護のために必要な措置をとっている、と答えていた。
関係ない、と否定はしていなかった。話の内容から推察して、稀少サンゴを常時観察するための撮影機材や観測器などが設置されているように思えた。