28日は那覇地方裁判所に行き、山城さんと添田さんの裁判を傍聴した。この日は高江のヘリパッド建設で現場の中心人物だった沖縄防衛局の職員に対する検察側の証人尋問が行われた。山城さんと添田さんらが同職員に暴力をふるい、文書を奪ったということを証明しようとしたが、逆に証言の曖昧さが目立った。
同職員は数名の名前をあげて、誰それが右腕をつかみ、誰それが左腕をつかんだ、などと具体的に話しているのだが、顔にヘルメットがかぶさっていたため自分の目で確認はしていない。後からビデオと照合したり、位置関係から推測で人物を特定しているにすぎないことが明らかとなった。
裁判では同職員の姿が傍聴席から見えないように衝立で隠された。公務員に対する尋問であるにもかかわらず裁判の公開原則を犯し、傍聴人が共謀して証人に害を及ぼすかのように印象付けるのは許されないとして、山城さんと添田さんの弁護士から裁判官忌避の申し立てがなされたが、それは却下された。
しかし、衝立の陰に隠れてしか証言できない沖縄防衛局員の姿は、彼らが沖縄でどのような立場に置かれているかをよく示している。米軍に奉仕して沖縄県民に負担と犠牲を強要する。それが沖縄防衛局の業務であり、沖縄県民から反発を買っていることを自覚しているから、法廷においてまで逃げ隠れしないといけないのだ。
裁判のあと、シネマQで「ハクソー・リッジ」を見た。嘉数高台から前田高地、シュガーローフにいたる間が沖縄戦でも激しい戦闘が行われた場所である。沖縄戦に関心を持ち、学んでいくきっかけにもなる。まずは多くの人に見てほしい。高江のヘリパッド建設問題も、辺野古の新基地建設問題も、元をたどれば沖縄戦に行きつく。
映画だと分かっていても、艦砲射撃の場面には胸がざわついた。着弾地には数多くの住民がいたのだ。映画では日米両軍の兵士しか出てこないが、住民が混在していて犠牲になったのが沖縄戦の特徴だ。メル・ギブソン監督にはそこまでの視野はない。
日米両軍の戦闘に巻き込まれ、死んでいった住民のことを考え、学びたい。