宜野湾市長選挙は3日攻防に入っている。現職の佐喜真淳氏陣営は、辺野古新基地問題が争点化することを回避しているが、安倍政権と自民党、公明党が全面支援していることが示すように、佐喜真氏の本音は辺野古新基地賛成だ。ただ、それをあからさまにすると不利になるから隠しているだけのこと。
前回の選挙で佐喜真氏は、普天間基地の「県外移設」を公約としていた。おそらくは、それも勝つための方便だったのだろう。それならそうと自分の考えを公約として明確に示せばいいものを、争点ぼかしとはなんと姑息なことだろうか。何のことはない、普天間基地問題の解決に自信がないのだろう。
一昨年の8月から海底ボーリング調査が始まってからいまだに終わらないことが、辺野古新基地建設の大幅な遅れと不可能性を示すものであることを述べてきた。問題はそれだけではない。現在、沖縄県警と警視庁機動隊が毎朝、旧ゲート前で座り込む市民を排除し、作業車をキャンプ・シュワーブの中に入れている。最近は、そのあとも作業車の出入りがあるが、まだ1日にのべ50台にも満たない台数だ。
しかし、埋め立てには沖縄県庁を容れ物にして70棟分という膨大な土砂、岩石が必要となる。それを搬入するためには1日に500台以上のダンプカーが4年間にわたってゲートから入るという。そんなことが可能なのか。
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土砂以外の資材や重機類を積んだ車両、生コン車、作業員が乗った車両も出入りする。500台どころではない車両がキャンプ・シュワーブのゲートを出入りするのだ。しかし、1日に数十台の車両の出入りさえ、旧ゲートに座り込む市民を排除するために沖縄県警だけでは対応できず、警視庁機動隊を派遣しているのだ。その10倍の車両の出入りを実行するために、座り込む市民をどのようにして排除するのか。
本格的な埋め立て工事の開始を考えれば、今ゲート前で起こっている混乱もまだ微々たるものといえる。1年半が経っても辺野古新地建設に反対する行動は、ゲート前でも海上でも粘り強く続けられ、運動のすそ野は大きく広がっている。今年に入って水曜日に続き木曜日も大行動日として取り組まれている。ゲート前に300人以上の人が集まると、機動隊も簡単には排除できない。
現状を見て少し想像力を働かせれば、普天間基地の辺野古「移設」がいかに困難で不可能であるかが見えてくる。政府・防衛省がどれだけ強行しようとしても、工事は遅々として進まず、工期を延び続けていくのは目に見えている。沖縄の中で基地をたらい回しにしようとする限り、普天間基地の危険性は除去できず、固定化されてしまうのだ。
宜野湾市民はこのことをよく考えてほしい。そして、ウチナンチュー同士で基地を押し付け合うことの愚かさ、むなしさを考えてほしい。宜野湾市民を名護市民が協力して普天間基地撤去の運動を進めること。その方向にしか危険性除去の可能性は見いだせない。宜野湾市民と名護市民を分断し、対立させようとする日本政府の意図を見抜き、普天間基地の早期返還を実現させよう。