12月16日午後2時から、新基地問題を考える辺野古有志の会とティダの会で名護市教育委員会に緊急申し入れを行った。以下に申し入れ文を引用して紹介したい。
キャンプ・シュワブ内埋蔵文化財試掘調査に係る緊急申し入れ
標記の件について、沖縄防衛局は、名護市が計画しているキャンプ・シュワブ内埋蔵文化財試掘調査予定地域内に公有水面埋め立てに係る付替え道路といって、試掘予定地に仮設道を設置工事を進めています。このことは、文化財保護法に悖る行為であり、これを許せばキャンプ・シュワブ内埋蔵文化財が破壊される恐れがあります。よってこのことについて、名護市の対応を詳しくご説明いただくことを申し入れます。
以上、引用終わり。
対応した名護市教育委員会の中本正泰教育次長や比嘉久文化課課長によれば、名護市教委が現場確認をしたいと申し入れたことに対し沖縄防衛局は、現場の近くから目視させるだけで、現場まで行って詳しく確認させなかったという。
また、浜に建設した道路は埋め立て工事に向けたものではなく、フロートを引き出すためであり、布団かご(割栗石を詰めた網袋)も使用していない、と説明したという。名護市教委に平然と嘘をつく沖縄防衛局のでたらめさに呆れ、怒りを禁じえない。
大浦湾に行けばすでに大量のフロートやオイルフェンスが海に浮かんでいる。それらはキャンプ・シュワーブ内のリゾートビーチ(やに浜)にクレーンやバックホーで並べ、船で海に引き出したものだ。昨年の夏は辺野古側の浜から浅瀬にフロートを設置していた。やに浜のとなりにある小浜(くばま)に道路を造らなくても何の支障もなく、これまでフロートを設置してきたし、現在も設置している。
狭くて岩場に近い小浜に道を作り、わざわざ作業をやりにくくすることなどあり得ない話だ。名護市教委に対し、ここまで不誠実な説明をする沖縄防衛局の傲慢さは何だろうか。布団かごに関しても、下の写真を見れば使っていることは一目瞭然である。
沖縄防衛局は名護市教委が現場を視認する前に、砂で布団かごを覆うという隠ぺい工作を行っている。なんとでたらめな組織だろうか。これは名護市教委だけでなく、名護市民、沖縄県民を愚弄するものであり、自らの工事についてきちんと説明しないばかりか、嘘でごまかそうとする沖縄防衛局を許してはならない。
小浜に隣接するやに浜では、過去の調査で遺物が発見されている。名護市教委は沖縄防衛局に設計図面や概況説明を求めるだけでなく、試掘調査をしないうちに勝手に工事をし、現状変更したことに強く抗議して、布団かごや鉄板などの撤去と原状回復を強く求めるべきだ。文化財は名護市民、沖縄県民の共有財産であり、名護市教委はそれを守らなければならない。
また、キャンプ・シュワーブ一帯は沖縄戦直後、大浦崎収容所が設けられて今帰仁村、本部町、伊江村の住民が収容されている。特に大浦湾側は今帰仁村(西半分の)住民の収容場所となっていて、小浜のそばにある茂みが収容所内で死亡した住民の墓地となっていた。まだ収骨されていない遺骨が残っている可能性があり、沖縄防衛局による仮設道路建設は、この点からも許されない行為である。
沖縄防衛局は文化財を破壊し、沖縄戦の犠牲者を冒涜する小浜の仮設道路建設を中止し、不法な構築物を即座に撤去して、現状回復すべきだ。そのうえで日米両政府は、翁長知事を先頭に沖縄県民の大多数が反対している新基地建設を断念し、海底ボーリング調査と陸上での工事を中断すべきだ。