27日は午前7時20分頃、カヌー17艇で松田ぬ浜を出発した。辺野古崎の岩場に入ると前日までなかった緑のネットが張られている。台風6号で片付けられていたものが再設置されたのだが、フロートと同じように台風が来ればまた片づけなければならない。今年はすでに7個の台風が発生している。ネットがすぐに張れるというのはそれだけちゃちな作りということで、単管を組み立てただけの不安定なものだ。風や波に流されて粗大ゴミとなる前にさっさと撤去した方がいい。
大浦湾に面した4階建ての兵舎の解体工事は、すでに半分以上の外壁が取り壊されている。今日は辺野古崎付近にクレーン車が作業している様子も見えた。具体的にどのような作業をしていたかは見えなかったが、周辺には瓦礫が山積みになっている。翁長雄志知事の中止要求を無視して、陸でも埋め立てに向けた準備が進められている。
辺野古崎から長島の南側に向かい、抗議船3隻と合流した。クレーン付台船が入って来るのを警戒しながら、海上作業への監視行動を行った。午前8時、キャンプ・シュワブから日米の国歌がテープで流され、海まで聞こえる。この時間帯は抗議船やカヌーの近くでアジサシが活発に飛び回り、餌をとっている。10羽ほどがくり返し海面に突っ込んでは小魚を捕らえていた。
午前9時前、舳先にクレーンが付いた浪速丸がフロートを引いて移動を始めたので、1、2班は抗議船に乗って長島と平島の間を抜け、瀬嵩の方に移動した。3、4班は長島の南側で監視行動を続けた。
瀬嵩側に南北に張られている大型フロートに沿って、浪速丸が引っ張ってきた小型フロートを並べると、和船3隻に乗った作業員がロープで結束する作業が午前、午後と行われた。それに対して抗議船とカヌーで作業船のそばまで行き、大型フロートをはさんで抗議を続けた。
作業員たちはどういう思いでフロートの設置をやっているのだろうか。海でも陸でも沖縄防衛局の職員たちは前面に出てこない。メディアやインターネットの情報をもとにあれこれ論評する人は多いが、現場でぶつかり合わなければならない者たちこそが、心身ともにきつい思いをしている。目の前で作業が行われたら止めなければいけないし、嫌でも批判せざるを得ない。1日も早くこういう作業を中止させたい。
瀬嵩側のフロートの張り方は異常である。大型フロートを張った内側にオイルフェンスを二重に並べて結束し、さらに小型のフロートを二重に並べてつなげている。場所によって三重から五重の違いはあるが、これだけ大量のフロートやオイルフェンスを重ねて設置すれば、海底のアンカーにかなりの力がはたらくだろう。アンカーはどれだけの浮力、負荷を想定して設置されているのか。
波や風が強まればフロートやオイルフェンスが大きく揺れる。アンカーと結ばれた鉄鎖が海底のサンゴを傷つけるだけではない。アンカーが動いてさらにサンゴを破壊する危険性はないのか。大型フロートだけでもかなりの浮力がはたらくことを考えてアンカーを重くしたはずだが、瀬嵩側のアンカーはこれだけのフロートやオイルフェンスに耐えられるのか。
仮に耐えられたとしても、自然環境の保全を考えれば、フロートやオイルフェンスの設置は必要最小限にとどめるべきだ。大型フロートだけでも越えるのは容易ではない。一目見ただけで越える意思をくじくほど大量に並べよう、と考えて、このように四重、五重に張っているなら、浅はかとしか言いようがない。
大量のフロートやオイルフェンスの設置は潮の流れを変え、それが自然環境に与える影響もある。大型コンクリートブロックを大量に投入した問題に加えて、異常なフロートの張り方もまた沖縄防衛局の自然環境への配慮のなさを示している。沖縄防衛局はフロートの設置の仕方について、どのような科学的根拠、基準を持っているのか。現場で場当たり的にやっているなら、大きな問題だ。
岩場付近に設置されたフロートは、波によって岩場に打ち付けられ、表面がボロボロになり、中には継ぎ目から割れているのもある。台風が来るたびにこうやってフロートはダメージを受け、作業員たちは撤去と再設置をくり返すことになる。フロートの再設置を終えても、いつまた台風が来るか分からない。作業員たちも徒労感に襲われるだろう。
午後3時頃、瀬嵩側での抗議行動を終えて、長島の南側に戻り3、4班と合流し松田ぬ浜に戻った。途中、キャンプ・シュワブの解体現場を見ると、映画館の北側に残されていた塔の解体が始まり、一部が壊されているのが見えた。
翁長雄知事や稲嶺進市長が米国に向けて出発した。こういう日に海上作業や解体工事を行うこと自体が、沖縄県民、名護市民への侮辱行為である。政府・防衛省は海底ボーリング調査をはじめとしたいっさいの作業を中止すべきだ。
本来、海は対立の場であってはならない。諸悪の根源は、強権的に新基地建設を進めている安倍政権であり、オバマ政権である。沖縄県民と名護市民を代表して訪米する翁長知事、稲嶺市長の声に耳を傾けよ。