名古屋市の河村市長が南京大虐殺を否定する発言をしたかと思えば、沖縄では仲井真弘多知事が首里城地下の第32軍司令部壕に設置する説明板文案から、日本軍による住民虐殺と慰安婦の記述を削除させたことが問題になっている。
http://www.okinawatimes.co.jp/article/2012-02-24_30235/
http://www.okinawatimes.co.jp/article/2012-02-25_30269/
仲井真知事は23日の段階では、削除について「知らない」と言っていたが、翌日には前言を翻し、知事自らが最終的に判断したことを認めている。シラを切って責任逃れを図ろうとした知事の態度は、姑息としか言いようがない。
今回の仲井真知事の対応を見ると、沖縄県民ならすぐに県平和祈念資料館の改竄事件を思い出すだろう。稲嶺恵一元知事といい、仲井真知事といい、専門家が検討を重ねて作成した文案を、自らの政治判断のみで改竄しようとする独善性、傲慢さがむき出しになっている。説明板設置検討委員会を含めて再度議論をし、記述を復活すべきだ。
侵攻する先々の戦場に慰安所を設けたことは、当時の日本軍の特質を示すものである。そのために性奴隷の扱いを受けた女性たちも戦火に巻き込まれ、犠牲となっていった。慰安所が設けられ、慰安婦がいたのは司令部壕だけではない。日本軍が配置された沖縄の各地に慰安所はあった。
慰安婦の記述を削除するのは、そのような歴史事実を隠蔽することであり、そこにいた女性たちの存在を抹殺するものだ。そうやって皇軍(天皇の軍隊)の美化が進んでいくのだ。慰安婦問題は南京大虐殺、沖縄の強制集団死とならんで、日本軍の「名誉回復」を図るとする右翼勢力が標的にし、隠蔽しようとしてきた。知事の行為はそれに手を貸すものにほかならない。
仲井真知事は、普天間基地の「県外移設」は口にしても、「県内移設」について反対は明言せず、高江のヘリパッド建設や先島への自衛隊配備を容認している。沖縄戦に関する歴史認識も、しょせんこの程度のものであり、今回の説明板削除問題を許せば、さらに改竄が進んでいく。仲井真知事に対し抗議の声を上げ、記述の復活を求めましょう。