19日午後2時から辺野古交流プラザで伊波義安さん(沖縄・生物多様性市民ネットワーク共同代表)の講演会「沖縄における枯葉剤について−化学兵器枯葉剤と猛毒ダイオキシン−」が開かれた。51名の参加があった。
講演ではベトナム戦争における「枯れ葉作戦」の実態や、それによってもたらされたベトナム住民、米軍人などの次世代にまで及ぶ被害、ダイオキシンの性質と毒性、沖縄において1960年代に北部訓練場で枯葉剤が散布された事実や、最近になって明らかになった元米兵の証言、そして、沖縄でこの問題についてどう取り組んでいくか、などが話された。
講演で伊波さんは、ベトナム戦争時に使用された枯葉剤に含まれていたダイオキシンは、土の粒子に付着して雨により川や海に流され、当時に比べれば土中の濃度は薄くなっている。しかし、ダイオキシンの高濃度汚染地域(ホットスポット)があり、ダイオキシンが保管されていた倉庫や輸送された飛行場、港湾施設などに、今でも高濃度の場所が残されていることを指摘していた。
沖縄はベトナム戦争時に、B52戦略爆撃機などの出撃拠点であると同時に、兵員、物資の兵站・輸送拠点として大きな役割を果たした。沖縄なくしてベトナム戦争は戦えなかったと言われるほど、大量の物資が沖縄を経由してベトナムに運ばれた。
現在、米国政府は沖縄に枯葉剤が持ち込まれた記録はない、としている。しかし、沖縄で枯葉剤に触れて障がいが出たとする米兵の証言が次々と出てきている。那覇軍港や牧港補給基地、普天間基地、嘉手納基地、天願桟橋、辺野古弾薬庫、北部訓練場など、沖縄にもダイオキシンが持ち込まれ、輸送・保管した施設にホットスポットが残っている可能性は否定できない。
伊波さんは最後に、沖縄における枯葉剤汚染の真相を解明するため、以下の3点を沖縄県や日米両政府に要求し、市民自身が粘り強く取り組みを続けることを訴えた。
?枯葉剤について、沖縄の元米軍雇用員の証言を集める。
?マスコミで枯葉剤について証言した米退役軍人の証言を検証する。
?これらの証言から汚染場所を確定する。その中で高濃度汚染地域(ホットスポット)と推測される場所について専門家のアドバイスを受けて土壌調査や水質調査を行い、その結果を県民に公表する。
伊波さんは、行政が行う調査には市民も立ち会い、調査場所や調査方法を確認することの大切さも付け加えた。
そのあと40分ほど質疑応答が行われ、ゴミの焼却や農業における除草剤の使用、枯葉剤とそれ以外から生じるダイオキシンの区別、被害補償などの問題が論じられた。
講演や質疑応答のなかで伊波さんも触れていたが、米軍基地から派生する環境汚染はダイオキシンだけではない。基地返還後の跡地利用の段階で深刻な土壌汚染が明らかになり、その除染にかかる費用や再開発の遅れなどの問題がこれまでも発生している。
MV22オスプレイ配備の環境影響評価でもそうだが、米国内と沖縄とで環境問題に対する米軍の二重基準は酷すぎる。また、それを黙認している日本政府の姿勢もでたらめ極まりない。基地内の立ち入り調査を認めさせることを含めて、沖縄における枯葉剤汚染問題について、県や国も真相解明に努めるべきだ。