田中直紀防衛大臣が来沖し、18日にキャンプ・シュワブや普天間第二小学校などを見て回り、仲井真知事と対談している。
http://www.qab.co.jp/news/2012021833882.html
http://www.tv-asahi.co.jp/ann/news/web/html/220218036.html
田中大臣は「普天間基地の固定化は絶対にない」としたうえで、辺野古「移設」推進の考えを示している。しかし、名護市の稲嶺進市長が、残り2年の任期中に「移設」容認に転じることはあり得ない。仲井真知事にしても、名護市長や名護市民の意思を踏みにじって、「県外移設」という選挙公約を放り出すことは、簡単にはできない。日本政府が辺野古「移設」という方針を変えない限り、事態が動かないのは自明である。
あと半年もすれば、MV22オスプレイの普天間基地配備が目の前に迫ってくる。年末にはオスプレイが宜野湾市を中心に中北部上空を飛行することになりかねない。6月の県議会議員選挙で仲井真知事が与党多数となり、その上で宜野湾市民や沖縄県民の頭上でオスプレイを飛び回らせば、県民世論も辺野古「移設」容認に変わっていくと、日本政府は考えているのだろうか。
あるいは、どうせ動かないのなら2年後の名護市長選挙まで待つしかない、と考えているのだろうか。パッケージが崩れたのならもう急ぐことはない、オスプレイが飛んでも事故が起こらなければいい、沖縄が反対するから「普天間基地の危険性の除去」が進まないのだ、と居直って長期戦に転じる。それでも駄目なら、普天間基地が固定化するなら仕方がない、沖縄は自業自得だ、と責任転嫁して放り出す。日本の政治家、官僚たちならやりかねない。
26日には野田首相も来沖するのだが、謝罪やお願いをいくらくり返しても、何も変わらない。野党から沖縄に行ってないことを攻められるから、週末を利用して一回は行っておくか、という程度の気持ちなのだろう。さも自分たちが「沖縄の負担軽減」や普天間基地の「危険性の除去」のために努力しているかのように装い、自らもそう思っているのかもしれないが、実際には沖縄の中で「負担」と「危険性」をたらい回ししているにすぎない。沖縄県民が何に反発しているかを理解しないで、「県民の理解」を一方的に求める傲慢さを、まずは自覚すべきだ。
この16年の間、どれだけの数の政治家がヤマトゥから沖縄にやってきただろうか。その中に一人でも、自らが「負担」と「危険性」を担うという決意を示した政治家がいただろうか。あるいは、米国政府に正面から対峙し、沖縄から基地の「負担」と「危険性」を除去しようと本気で交渉した政治家が、どれだけいただろうか。
田中防衛大臣にしても、野田首相にしても、米国政府に対峙してものを言えない時点で、すでに終わっている。結局は自公政権と同じように何も動かせず、「沖縄の負担軽減」を口実に米軍の海外移転費用を支払わされ、いいように利用されるだけのことだ。そして、沖縄県民は基地の危険にさらされ続ける。何と虚しい沖縄詣でだろうか。