3月26日の「第178回名護市議会定例会」最終日に、「米軍基地集中と新基地建設強行による沖縄県民の人権侵害・差別について、その実態を国連人権高等弁務官に調査を求める決議」が、賛成多数で可決された。地元名護市の議会でこういう決議があげられていることに注目したいので、以下にその全文を引用して紹介します。
米軍基地集中と新基地建設強行による沖縄県民の人権侵害・差別について、その実態を国連人権高等弁務官に調査を求める決議
第二次世界大戦中、日本で唯一地上戦に追い込まれた沖縄は、熾烈な戦いの末、廃墟となり、多くの人命が失われました。さらに、1952年のサンフランシスコ講和条約発効で、沖縄は日本から切り離され、27年間もアメリカ軍政下におかれ人権が無視され、苦難と忍従を強いられてきました。今年、戦後70年を迎えますが、いまだ、日本国土面積の0.6%しかない狭隘な島、沖縄に在日米軍専用施設面積の74%が集中しています。
そして、現在では沖縄県民の大多数が反対する中、日米両政府は国際的保護動物で、国指定天然記念物のジュゴンがすむ生物多様性に富んだ大浦湾・辺野古の海を埋め立てて海兵隊の新しい基地建設を強行し、環境破壊と人権侵害が行われています。
名護市では、1997年の住民投票で新基地建設反対が過半数を占め、2010年1に「辺野古の海にも陸にも新たな基地は造らせない」とする市長を誕生させ、2014年1月に再選されました。同年9月に行われた名護市議会議員選挙でも基地建設反対野木員は過半数を占めました。また、2014年11月に行われた沖縄県知事選挙では、新基地建設を認めないとする翁長雄志候補が民意を無視して埋め立て承認手続きを受け入れた前知事に10万票の大差をつけて当選し、同日に行われた名護市区県議会議員補欠選挙、続く12月の衆議院選挙においても、米軍の新基地建設に反対する候補者が全て当選し、沖縄の「新基地建設反対」の民意は明確に示されています。
しかし、総理大臣や防衛大臣、外務大臣はその沖縄の民意を代表する翁長雄志知事の面会申し出を拒否し、政府の意に沿わない人とは会わないという態度で沖縄県民を差別視しています。
さらには、キャンプ・シュワブゲート前で、新基地反対の座り込みをしている県民や、埋め立て予定地の海上でカヌーなどにより抗議行動をする非暴力の市民を、沖縄県警機動隊や海上保安庁による暴力的な過剰警備によりけが人も続出しています。その中で、抗議行動をするリーダーの一人が、米軍の警備員により突然明らかな理由もなく、不当拘束・逮捕されるということまで起こっています。
名護市議会としては、今なお続く日米両政府の沖縄県に対する構造的差別による人権抑圧に対して強い憤りを持っており、絶対に容認することはできません。
つきましては、沖縄の人権と自己決定権を保護するために、強行されている新基地建設と沖縄県民の人権侵害の実態を、国連人権高等弁務官が現地にて調査することを要請いたします。
以上、決議する。
平成27年3月26日
沖縄県名護市議会
宛先:国連人権高等弁務官