今回の宜野湾市長選挙は、病気療養中だった安里猛市長が、回復が思わしくなく辞任したために行われている。その安里市長の辞意が報じられたのが昨年の12月27日の朝刊である。
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-185651-storytopic-3.html
沖縄県庁では前日26日から、辺野古「移設」に係る環境影響評価書の提出を阻止する行動が取り組まれていた。27日は評価書の入った段ボール箱を搬入しようとした運送業者の車がやってきたが、抗議する住民に囲まれて、県庁職員と沖縄防衛局が話し合って引き返していった。
http://blog.goo.ne.jp/awamori777/e/35285bdc4261491895f2383d47940dfb
そして、安里市長が辞表を提出した12月28日は、真部局長が先頭となって午前4時過ぎに評価書の入った段ボール箱を県庁の守衛室に持ち込み、県庁の廊下が座り込みと抗議の住民であふれ、緊張に満ちた1日となった。
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-185680-storytopic-53.html
http://blog.goo.ne.jp/awamori777/e/6d3012175051637f4b11f11d983e9dc3
その後、12月29日から1月3日までの年末年始の間、県庁守衛室前の廊下では住民の自主的な座り込み行動が取り組まれた。その間、12月30日には宜野湾市長選挙に向けて与野党の候補者選考委員会が開かれ、革新系与党が伊波洋一氏、保守系野党が佐喜真敦氏を選出。両氏とも受諾の意思を示して出馬の準備を進める。
年が明けて1月4日の県庁始業の日、守衛室前には段ボール箱の開封を見守る住民が集まっていた。
http://blog.goo.ne.jp/awamori777/e/168fdb6020c1c5485503ecac2170d915
その日の午後3時9分に、沖縄防衛局総務部総務課人事係から各部庶務担当者に、〈?宜野湾市在住の職員及び?宜野湾市に選挙権を有する親族(家族、いとこ、親戚)の状況〉を調査依頼するメールが発信されている。
真部氏は、講話は自分が発案して準備を指示した、と述べている。
http://www.okinawatimes.co.jp/article/2012-02-03_29399/
上記の動きを見ると真部局長は、環境アセス評価書の年内提出強行を進めるのと同時並行的に、宜野湾市長選挙への介入に向けての動きを進めていたことが分かる。安里市長の辞任という急な事態であったにもかかわらず、年明けの業務開始早々、宜野湾市長選挙に向けたメールを発信することができたのは、過去に名護市長選挙や市議会選挙で講話を行ったことをふまえて、名簿作りと講話が年末年始の間に発案され、準備されていたからだ。
今回の沖縄防衛局による宜野湾市長選挙への不当介入問題は、昨年末未明の環境影響評価書の県庁持ち込みと連動するものだ。辺野古新基地建設のためには手段を選ばない。法や条例を逸脱しても強引にことを進めていく。そういう沖縄防衛局の強圧的な姿勢が現れている。その陣頭指揮に立っているのが真部局長である。
真部局長が言う、どちらかの候補者に肩入れしていないので問題がないかのような主張は、白々しい限りだ。現在名前が挙がっている二人の予定候補者のうち、誰に票を入れてほしいか、真部局長の考えは沖縄防衛局の職員なら十分に理解している。暗黙の了解でことを進めればよく、言えば明らかに公選法違反になるから、口にしなかっただけのことだ。
午前4時に自ら県庁まで出かけていって、評価書の入った段ボール箱を置いてくる真部局長が、直々に講話をしているのだ。業務時間中に呼び出されて講話を聞かされる局員も、単なる投票の呼びかけではないことは分かっている。家族や親戚の票を集めてこい、という意図を察しない者はいないだろう。そのために名簿も作られているのだから。
今回の真部局長の講話問題は、局長という地位を利用し、人事係から組織的にメールを発信させ、局員の家族や親族の個人情報を本来業務から逸脱して収集し、業務時間中に沖縄防衛局の施設を使い、沖縄防衛局が進める普天間基地「移設」の当該自治体の市長選挙で投票を呼びかけたこと自体が、すでに問題であり、法的に責任を問われるべきものだ。宜野湾市や名護市以外の市町村の選挙でも、真部氏は同じように名簿づくりや講話を行うというのか。
評価書提出を陣頭指揮した真部局長の行動を見れば、それと同時並行して進められた宜野湾市長選挙に向けた動きも、目的ははっきりしている。辺野古新基地建設を進めるため少しでも有利な政治情勢を作ろうと、沖縄防衛局は組織ぐるみで選挙に介入している。野田政権が真部局長の処分を見送るというなら、より徹底して追及すればいいだけのことだ。