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Channel: 海鳴りの島から
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不当かつ危険な仮設ゲートと「殺人鉄板」を撤去させよう。

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 先週はキャンプ・シュワブ前に沖縄防衛局が設置した仮設ゲートと「殺人鉄板」の問題で抗議が続いた。上の写真は8月8日のキャンプ・シュワブ前の様子である。この日は旧盆のウンケーで基地内の工事はなく、資材を積んだ工事車両の出入りもなかった。

 ゲート前の全景を見てほしい。手前の青いブルーシートが張られた歩道は、沖縄防衛局の占用区域ではないことが明らかとなり、市民が自由に出入りできるようになった。暑いときはテントの下が休憩所となっているが、沖縄防衛局は依然として仮設ゲートを撤去せず、歩道への通行を妨害している。

 ALSOKの警備員たちは、鉄板より国道側に設置された仮設ゲートの出入り口に立ち、車両や通行人、抗議行動参加者を規制している。県警機動隊はバスの中でクーラーにあたりながら待機し、ALSOKだけでは抗議行動を規制できないと判断したときに出てきて、市民に暴力的弾圧を加えている。出番がないときはバスの中で居眠りでもしているのだろう。民間警備会社を前面に立て、機動隊があとに控えるという弾圧態勢が取られている。

 「殺人鉄板」とも称される危険な鉄板が設置され、さらに国道側に仮設ゲートが設置されたため、市民の抗議行動や警備が国道側に押し出される形となっている。ALSOKの車両誘導係は常時、国道329号線の車道ぎりぎりに立っている。仮設ゲートの設置によって車道とゲート間の空間が狭まり、抗議行動の参加者や警備員の危険性が増している。

 上の写真4枚は仮設ゲートと「殺人鉄板」が設置される前の様子である。抗議行動は現在「殺人鉄板」が敷かれている場所で行われ、デモやシュプレヒコール、工事車両への抗議が車道にはみ出すことはほとんどなかった。警備員も沖縄人の若者が2人しかいなかったが、彼らに協力して大きな混乱もなく、整然と抗議行動が取り組まれていた。抗議行動の参加者は元より、民間の警備員にとっても、現在よりはるかに安全な状況だった。

 それを一変させたのが沖縄防衛局による仮設ゲートと「殺人鉄板」の設置である。抗議行動の参加者は、それまで行動していた場所から仮設ゲートの外に閉め出され、車道との間の狭い空間での行動を強いられている。参加者が多いときや工事車両に抗議をする際には、警備員や機動隊に押されて車道にはみ出すようになった。

 そのため、国道を走行する車両にも影響が出て渋滞が生じ、参加者や警備員も危険にさらされている。これは仮設ゲートや鉄板が設置される前にはなかったことであり、現在の危険な状況は沖縄防衛局によって意図的に作り出されたものだ。

 「殺人鉄板」の1枚には〈7/7〉という日付らしきものが記されている。専用期間の開始は7月3日で、沖縄防衛局が鉄板を設置したのは7月27日の夜から28日の明け方にかけてだ。7月7日は「殺人鉄板」が製作された日か、沖縄防衛局に引き渡された日の可能性がある。いずれにしても、沖縄防衛局は7月の工事開始当初から、鉄板の設置を計画していたことが分かる。

 沖縄防衛局はこの〈敷鉄板〉を〈泥引き防止装置〉としている。三角形の山形がある鉄板でタイヤに付着した泥や砂利を落とし、国道が泥や砂利で汚れるのを防ぐために設置したという。国道が泥で汚れてスリップ事故を起こすことを防ぐのが目的という理屈だろうが、すでに何度も触れているように、8月上旬は台風が連続して雨の日が多かったが、泥や砂利がタイヤに付着した状態でこの鉄板を通った車両は1台もない。

 そもそも、スリップ事故を防ぐのが目的なら、泥が路面に引かれてまずいのは国道だけでなく、基地内の道路も一緒だ。仮に基地内に赤土が付着する工事現場があるのなら、現場を出る段階でタイヤを洗浄して泥を落とし、沈泥池に汚れた水を溜めるのが常識的なやり方だ。ゲートを出たあとに歩道で泥を落とすというのは非常識極まりなく、そういう〈装置〉に占用許可を出した沖縄総合事務局・北部国道事務所の不見識も指弾されねばならない。

 以上の点を見れば、この鉄板は〈泥引き防止装置〉としての役割を果たさず、設置場所も不適切である。三角に尖った山形鋼を溶接した構造上の危険性だけでなく、抗議行動参加者や警備員を車道側に押し出すことによって、交通事故の危険性も生み出している。あらゆる点からして即座に撤去されるべきものだ。新基地建設の反対運動に対する嫌がらせとしても常軌を逸している。

 沖縄防衛局はまた、鉄板を敷いたもう一つの理由として、道路の保護を主張している。資材を積んだ大型車両が通行するので道路が傷まないように鉄板で保護している、という。さらに、敷いた鉄板は危険なので、そこに市民が立ち入らないように仮設ゲートを設置したのだという。

 必要がない危険なものを設置して、それを理由にさらに仮設ゲートを設置する。市民を排除するために作り出した、まさに屁理屈そのものだ。仮設ゲートの設置理由が、危険な鉄板の場所に人が入るのを防ぐことにあるというなら、鉄板が敷かれていない歩道の前にまで仮設ゲートを設置しているのは、どういう理由によるのか?

 歩道部分は沖縄防衛局に占用許可は下りていない。市民が自由に立ち入りしていい場所だ。しかも、鉄板は敷かれていないのだから、沖縄防衛局が仮設ゲートでふさぐ理由はない。上の写真を見れば分かるように、歩道と鉄板の間には名護署が仕切りの鉄柵を設置している。歩道部分の仮設ゲートの設置は、市民の不当な閉め出し以外の何ものでもない。このような沖縄防衛局の暴挙を沖縄総合事務局・北部国道事務所および名護警察署は黙認するのか。

 道路の保護、という理由も実にいい加減なものだ。キャンプ・シュワブに出入りする工事車両は国道329号線を通ってくる。どうしてゲート前だけを鉄板で保護しなければならないのだ?鉄板が置かれた場所も北部国道事務所の管理下にあり、329号線の車道と同じ構造で作られているはずだ。鉄板が敷かれる前の写真では、その部分はアスファルトが敷き直されているが、それで構造上弱くなったということはあるまい。

 そもそも、キャンプ・シュワブに出入りする車は、国道329号線を通る車のごく一部だ。ゲートを出入りする車の通行だけで劣化し、保護が必要な道路なら、その数倍の通行がある国道はどうなるのだ。329号線全部に鉄板を敷き詰めないとおかしいし、基地内の道路にも鉄板を敷くべきだろう。そんなことはあり得ない話だ。また、ブイ設置に必要な資材を積んだ数十台の大型トレーラーは、新しく造られたもう一つのゲートから入ったのではなかったか。そこには鉄板は敷かれていない。

 沖縄防衛局が設置した仮設ゲートは2ヵ所ある。ALSOKの警備員が立っている車道側のものと、鉄板を超えて基地内に入った直後、米軍の提供施設を示す黄色の線のすぐそばに設置されているものだ。黄色い線のそばの仮設ゲートは常時開けられていて、沖縄県警が警備している。その奥にはさらに、本来のキャンプ・シュワブのゲートがある。

 黄色の線から奥のゲートまではけっこうな距離があり、県警や基地のガードマンが警備している。そこを突破して基地内に進入するというのは、あり得ない話だ。車道側の仮設ゲートと鉄板を撤去して、黄色い線のそばにある仮設ゲートだけを使っても、十分に対応できるはずだ。そうすることによって抗議行動の参加者やALSOKの警備員の安全も確保される。そもそも、米軍の提供施設は黄色い線から始まるのだから、警備のあり方としてもそれが本来の姿だ。

 米軍への提供区域ではなく、市民が自由に通行できる国道の一部を合理的理由もなく占用し、排除している沖縄防衛局の強引かつ異常なやり方が、キャンプ・シュワブ前の抗議行動に不要な混乱を起こしている。日本政府・防衛省は、辺野古の埋め立てに向けて海上抗議行動を抑え込むために自衛隊の出動も検討している。高江でも、ヘリパッド建設に反対する住民を排除するために、県道70号線の路側帯を米軍専用区域に戻そうとしている。そのやり方は、沖縄の反対運動を力でねじ伏せるために何でもあり、というものだ。

 そのような強権的なやり方を押し通せば、さらに混乱が拡大して不測の事態を招きかねない。いまの政府・防衛省・沖縄防衛局のやり方を見ていると、わざと混乱を生み出して、それを口実に弾圧を強化しようとしているようにさえ思える。そのために市民にけが人が出てもかまわない、と言わんばかりだ。

 旧盆が終われば、すぐにブイ設置に向けての作業が本格化する。政府・防衛省の横暴を止めるためには、陸でも海でも多くの人手が必要となる。同時に大きな世論の形成が必要だ。ぜひ、辺野古・高江に駆けつけてください。

 


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