現在進められている高江N4−2ヘリパッド建設工事で、県の赤土等流出防止条例に違反する工事が行われ、沖縄防衛局が厳重注意を受けていたことが11日付の県内紙で報じられている。
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-221095-storytopic-1.html
http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=64518
沖縄タイムスは12日付の社説でも、この問題を取り上げている。
http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=64569
県内のテレビ各局も、この問題を報じている。
http://www.qab.co.jp/news/2014031151058.html
http://www.rbc.co.jp/rnews.php?itemid=50333
http://www.otv.co.jp/newstxt/index.cgi?20140311114763
沖縄テレビ(OTV)の空中撮影による映像は、昨年夏頃のものと思われるが、完成した一つ目のヘリパッドの近くにブルーシートで覆われた平地と、同じくブルーとグレーのシートで覆われた三角形の小山が確認できる。小山になっているのは一つ目のヘリパッドを建設した際に出た残土である。その土は二つ目のヘリパッドを建設する際に盛土用に使われている。小山の周りが赤土流出防止柵で四角く囲われているのも確認できる。
N4の二つのヘリパッド建設に際し沖縄防衛局は、工事で発生する伐採木や土砂を北部訓練場外に持ち出さず、内部で処理するとしていた。伐採木は杭やノグチゲラの人工餌木、マルチングの材料に利用するとし、切り土で発生する土は盛土に利用することによって、最終的に残土は発生しないとしていた。そう打ち出すことで沖縄防衛局は、ヘリパッド建設工事があたかも自然環境への負荷が少ない工事であるかのように装おうとしたのである。
しかし、県内紙・テレビの報道が示すとおり、沖縄防衛局のもくろみは崩れた。問題は新たな残土が発生したことだけにあるのではない。残土の発生を隠し、秘密裏に処理しようとして、本来置くべき所とは別の場所に運んだ可能性が高いことにある。OTVの映像に映っているカバーをかぶせられた小山(残土)は、二つ目のヘリパッドを造る際に盛土として使用されているから、赤土流出防止柵の中は今年に入って空になったはずだ。仮に新たな残土が発生しても、そこに保管すればいいだけのことであり、それだけのスペースはあったはずだ。残土置き場の面積が拡大することは極めて不自然である。
OTVの映像を見ると、本来の残土置き場は県道70号線に面したN4ゲートから直線距離で200メートルほどしか離れていない。そこに新たな残土を持ち込んで3月以降に搬出作業をしようとすれば、バックホーやダンプカーの作業音がゲート付近で監視しているメンバーに聞こえてしまう。じっさい、これまでN4で監視活動にあたってきたメンバーは、ゲートに向かって右奥の方でバックホーが作業をしている音を耳にしてきた。そのため、監視活動を行っているメンバーに気付かれないように作業するため、沖縄防衛局や丸政工務店の作業員たちは、工事音が聞こえない奥の方(西側)に新たな仮置き場を作り、そこに赤土を運び込んだのではないか。
N4ゲート付近で工事の様子を見ながら、2月下旬になって新たに赤土を搬出していることに疑問を抱いていた。3月に入って以降は、ゲートに向かって右奥にある残土置き場で作業音が聞こえないか注意してきたが、3月1日の朝にバックホーの動く音がごく短時間聞こえただけで、残土を搬出している気配はない。2月28日の時点ですでに奥の方に運んでいたのか、と思う一方で、メインゲートからは残土を搬出している10トンダンプカーが出入りしており、その中にN4の工事で出た残土も紛れ込んでいないか、疑いを持たざるを得ない状況となっている。
もし、たとえ一部であってもN4−2のヘリパッド建設工事で新たに発生した残土が、県の環境保全課に隠されたまま北部訓練場の外に捨てられていたら大問題である。米軍基地の中には県民の目が届かないのをいいことに、問題を秘密裏に処理しようとするのは、沖縄防衛局のこれまでの隠蔽体質からすれば十分にあり得る。いずれにしろ、県の環境保全課による立ち入り調査を早急に行う必要がある。加えて、メディアの同行取材も認められるべきだ。沖縄防衛局と丸政工務店は、県の立ち入り調査によって事実関係が明らかになるまで、いっさいの工事を即座に止めるべきだ。
今回の問題が明らかになったのは、N4ゲートの近くに設置された脚立に立って、連日、長時間の監視活動を行ってきた人たちの努力の結果である。散水車をゲート近くに置いて目隠しが作られるなか、人や車の移動をわずかな空間と時間で観察し、記録し続けてきた皆さんの労に感謝したい。