高江では13日の午後から、N4ヘリパッド建設現場で県の環境保全課が立ち入り調査を行った。赤土等流出防止条例に基づくもので、終了後に住民の会に建設現場の状況説明を行っていた。ヘリやオスプレイが着陸する直径45メートルの接地帯は、下層路盤に30センチまで砂利が敷き詰められているとのこと。設計図面では下層路盤としてクラッシャーランを35センチ、上層路盤として粒調採石15センチ敷き詰めることになっている。その上に不陸調整層として砂を1センチ以上敷き、表層に芝生保護材を敷き詰めて芝生を育成する。ここ数日N4の現場が静かなので、すでに砂利の敷き詰めは終わったのかと思ったが、まだ途中であることが分かった。
環境保全課によれば、盛り土部分ののり面には芝生が貼り付けられていたという。設計図面ではのり面には、植物性養生マットを敷いてチガヤを播種することになっている。工期末が迫っていることと県の調査に向けて早急に赤土対策をしなければならず、工法を変更したのだろう。しばらく前に北勝建設が別の現場で使うと言ってメインゲートから芝生を運び入れている。他に芝生は入っていないので、それを使ったと思われる。ここ数日N4でバックホーがほとんど動かず静かだったのは、のり面で芝生の貼り付け作業を行っていたのかもしれない。
県職員と同行していた沖縄防衛局の富永健・調達部総括建設監督官は、2月の工期までにヘリパッド建設工事が終わらないので、3月まで工期を延長すると語っていた。沖縄防衛局は自主アセスで、ノグチゲラなど鳥類の繁殖期に入ることを考慮し3〜6月は音が出る工事をしない、としてきたのだが富永監督官は、重機類を使わなければかまわない、と強弁していた。2月一杯で接地帯の砂利敷き詰めなどバックホーを使う作業を終え、3月以降は芝生保護材を敷く作業などを行う腹づもりらしい。
しかし、そうやって3月以降も工事を続けるのは、鳥類の繁殖期間への配慮を強調した自主アセスを沖縄防衛局が自ら否定するものだ。重機を使わなければかまわない、という理屈が通るなら、3月で終わらなければ4月、5月といくらでも工期延長が可能であり、鳥類の繁殖期間などどうでもいいことになる。本来なら工事だけでなく、爆音や銃声を轟かす米軍の訓練を含めて中止し、静謐な環境を保つのが当たり前である。沖縄防衛局は2月末の工期を守って、いったんN4での工事を止めるべきだ。
日本政府・沖縄防衛局は、1日も早くN4ヘリパッド2の工事を終わらせ、作業員を現場から撤退させて、すでに完成しているヘリパッド1でMV22オスプレイの離着陸訓練を実施したいのだろう。新しいヘリパッドでオスプレイを飛ばすことで、米軍に実績を示そうというわけだ。しかし、それは集落に最も近いヘリパッドでオスプレイの訓練が常態化し、高江住民の生活に大きな被害をもたらすことを意味する。
昨年の7月から8ヶ月をかけてもN4の二つ目のヘリパッドが完成できていないのは、オスプレイ配備に反対し、撤去を求める大きな県民世論があり、それに支えられて粘り強く住民運動が続けられているからだ。住民生活とやんばるの貴重な動植物の生存を脅かして、なし崩し的に工期を延長しようとする沖縄防衛局のもくろみを許してはならない。