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Channel: 海鳴りの島から
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仲井真知事は政府の辺野古埋め立て申請を容認してはならない。

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 以下の文章は、12月12日付沖縄タイムスに〈容認は基地集中を肯定/知事は埋め立て拒否を〉という見出しで掲載されたものです。

 二つの大きな出来事が、沖縄にとって今後何十年にもおよぶ深刻な状況を作り出そうとしている。特定秘密保護法案の強行採決による成立と、県選出の自民党国会議員、並びに自民党県連の公約破り=普天間基地「県内移設」容認である。

 それらは政党政治に対する深い不信感、虚無感を作り出すことで議会制民主主義を崩壊させるだけではない。沖縄にとっては「基地負担の軽減」どころか、沖縄を中国に対抗する米軍と自衛隊の軍事拠点として、さらに重い基地負担の犠牲に縛り付けることになる。

 この二つの出来事が同時に進行しているのは、それが共通の根っこを持っているからだ。米国に隷従し、その望み通りに在日・在沖米軍を強化すること。さらに自衛隊を米軍と一体化して戦える軍隊に作りかえていくこと。そのような狙いのもとに安倍晋三政権は、特定秘密保護法を成立させたことに加えて、自民党県連につづき仲井真弘多知事への圧力を強めている。

 仲井真知事が普天間基地の「県内移設」=辺野古「移設」容認へと転換すれば、名護市長選挙がどのような結果になろうと日本政府はそれを無視し、埋め立て着工へと突き進んでいくだろう。さらに、尖閣諸島の危機を煽りながら先島地域の各島に自衛隊配備を進め、下地島空港の軍事化や民間の空港、港湾の米軍・自衛隊による使用の活発化、臨戦態勢作りを進めていくはずだ。

 それに反対する市民運動家や政党、民主団体などを弾圧し、さらに基地問題について政府の意に沿わない報道をする沖縄のマスメディアを叩くために、特定秘密保護法は大きな威力を発揮するだろう。軍事基地に取り囲まれて生活している沖縄県民は、同法の影響を真っ先に受ける。沖縄県民の目と耳をふさぎ、声を奪っていくことで、平時と戦時における基地の安定使用が図られる。

 自民党県連は今、この時、選挙公約を破棄して普天間基地の「県内移設」=辺野古「移設」に転換したことの重大さを、徹底して自覚し、考えるべきだ。日本という国がどのような方向に進みつつあり、沖縄がその中でどのように扱われようとしているか。その結果、十年後、二十年後の沖縄に何がもたらされるか。沖縄の若い世代にこれから何が待ち受けているか、真剣に考えるべきだ。

 普天間基地の危険性を除去すると言いいながら、その危険性を辺野古に押しつけるのは、少数者に犠牲を強要するという点で、日本政府のやり口とまったく同じだ。政府の沖縄差別を批判しておきながら、やんばる差別を公然と行うなら恥ずかしい限りだ。

 この数年、沖縄への過剰な基地集中とヤマトゥの市民の無関心に対し、沖縄から差別という言葉がしきりに発せられた。自民党県連や県選出国会議員の辺野古「移設」容認は、沖縄県民がその差別を受け入れたものとして受け取られかねない。

 その後に続くのは、沖縄県民はやっぱり基地が必要なんでしょう、基地がないと生活できないんでしょう、だから反対して一括交付金の満額回答や那覇空港の滑走路増設を引き出したんでしょう、という侮蔑的な認識の広がりだ。

 自民党中央の圧力に屈して「苦渋の選択」をした、という言い訳など通用しない。米軍基地を沖縄に押しつけておきたい大多数のヤマトゥの市民にとって、自民党県連の転換はご都合主義的に解釈され、沖縄差別を正当化するものとして利用される。もし仲井真知事が辺野古「移設」容認に踏み切れば、そのような沖縄への侮蔑的認識と差別の正当化は決定的なものとなる。

 沖縄県内で行われている細かい議論や内部事情に関心を持ち、メディアやインターネットで情報を集めている人はごく少数だ。仲井真知事が「容認」を打ち出し、埋め立てを認めたと報道された時点で大多数のヤマトゥの市民には、沖縄はいろいろあったが基地と共存する道を選んだ、と都合よく解釈される。そして、過剰に基地を押しつけている、という負い目は払拭される。

 それだけではない。差別どころか経済的恩恵を施している、と沖縄への基地集中は正当化さえされるだろう。そうなれば、県内で米軍による事件・事故がどれだけ発生しようと、それを承知のうえで「県内移設」を容認したんでしょう、と切り捨てられて終わりだ。普天間基地の固定化どころか、米軍基地問題は「沖縄問題」として固定化され、全国的な議論や関心は基地所在自治体をのぞいて、雲散霧消してしまう。

 辺野古「移設」が強行されれば、反対する住民と県警、警備員、建設業者との間で流血の事態が起こりかねない。日本政府の官僚、沖縄防衛局員らはそれを高見から見物しているだろう。仲井真知事は県民のこれ以上の犠牲を拒否し、政府の埋め立て申請を承認してはならない。

 

  


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