1月8日付琉球新報は1面から25面まで7面を使って、普天間基地の辺野古「移設」に向けた環境アセスメント評価書の内容を紹介している。1面トップでは新たに配備されるMV22オスプレイの騒音によって〈生活環境悪化の見通しが顕著になっている〉と報じられている。
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-186019-storytopic-53.html
他にも〈住民意見にゼロ回答〉やジュゴン、ウミガメに与える影響の軽視など多くの問題点が指摘されているが、これから内容が広く検証されるにつれ、厳しい批判が続出するだろう。中でもオスプレイの配備についてごまかしを続け、最後の評価書の段階で記載したことについては、辺野古「移設」推進・容認派でさえ批判の声を上げるはずだ。
基地周辺に住む住民にとって最も関心があるのは、騒音や安全性など日々の生活に直結する問題であり、配備される機種と飛行経路について、真っ先に知りたかったはずだ。その最も重要な二点について、政府・防衛省は県民をあざむき、嘘を重ねてきた。同紙2面の記事にはこうある。
〈日米両政府が普天間の県内移設を確認した1996年12月の日米特別行動委員会(SACO)最終報告の草案で、代替施設へのオスプレイ配備を明記していたことが2007年4月に判明。さらに、海軍省は92年に作成した普天間飛行場マスタープラン(基本計画)でも普天間飛行場への配備を明示していた。
日本政府が県内へのオスプレイ配備計画を知っていたのは明らかだったが、元防衛政策局長の高見沢将林氏が、沖縄からの問い合わせに備え、配備計画に明言しない答弁を日米間で調整していたことが判明している。政府はオスプレイ配備を隠し続けてきた〉
日本政府は1992年から知っていたにもかかわらず、米国政府と口裏合わせまでして〈オスプレイ配備を隠し続けてきた〉のである。まさに政府・防衛省は組織ぐるみで沖縄県民をあざむいてきたのであり、午前4時に県庁に持ち込まれた評価書は、この1点だけでも全否定されて当然である。
このように政府・防衛省が10数年にわたって配備計画を隠し続けてきたこと自体が、オスプレイがいかに危険であるかを逆に証明している。政府・防衛省が言うとおりにオスプレイが安全で騒音が小さいなら、最初から隠す必要などなかったはずだ。
さらに、政府・防衛省が組織ぐるみの嘘を重ねてきたことは、評価書の信用性を全面的に失墜させる。都合の悪い部分は隠し、あるいはご都合主義的に解釈し、問題があってもないかのように装って、建設ありきで評価を下す。アワス(合わす)メントと揶揄されるような内容は、これから国内だけでなく世界中の環境保護団体、専門家から検証され、批判を浴びるだろう。
飛行経路が台形になろうが楕円になろうが、そんなものは大して意味がないことを、沖縄県民は自らの体験で知っている。いったん基地ができてしまえば、米軍は自由自在に飛び回り、早朝も夜間もお構いなしだ。辺野古を拠点に北部訓練場、伊江島補助飛行場、キャンプ・ハンセン、嘉手納基地などを移動訓練するときは、当然、住宅地上空を飛ぶ。1日中海の上を楕円形に飛んでいるなどという馬鹿げたことがあり得ないのは誰でも分かる。
最後の評価書の段階まで来て、名護市、東村、宜野座村など地域住民の関心、緊張感もこれから高まっていくはずだ。いま反対運動を大きく起こさなければ、オスプレイが自分の住宅上空を飛び、いつか大惨事が起こりかねないことを、心しなければならない。