沖縄県に提出された辺野古新基地建設に係る環境影響評価書に、必要資料が欠落する不備があったと県内紙が報じている。
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-185938-storytopic-53.html
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-185952-storytopic-53.html
〈不足分はアセスの第1段階である「方法書」に対する?住民等意見の概要?知事意見の概要?住民意見と知事意見に対する事業者の見解−などで1部につき83ページ〉とのことだが、欠落の仕方にまで住民意見や知事意見を軽視する沖縄防衛局の姿勢が露わになっている。
評価書の「年内提出」を強行するために、沖縄防衛局がいかにあわてて冊子作りをしたかもうかがえるが、呆れるのは沖縄防衛局のミスばかりではない。環境生活部に指摘されるまで不備に気づかず、評価書の受理手続きを終えていた県の土木建築部・農林水産部の失態も、単なるミスでは許されない。
12月26日から評価書の提出をめぐって市民による座り込みや抗議行動が取り組まれ、その様子は全国に報じられた。それだけ大きな問題となっている評価書の審査について、初っ端から不備を見落とすというミスを犯すのは、緊張感が欠けているとしか言いようがないし、担当部署の能力や真剣さを疑わせる。
しかも、1月6日付琉球新報の次の記事を読むと、土木建築部の対応にはミスを犯したことへの真摯な反省や誠実さが感じられない。
〈環境影響評価書の不備に気付かず、環境生活部の指摘を受けた県土木建築部海岸防災課は5日夕、記者団の取材に応じ、「準備書の段階で審査されたものについては注目していなかった。(受理方針を発表した)5日昼には書類の欠落に気付かなかった」と説明し、謝罪した。同じ評価書を審査する環境政策課と海岸防災課で、審査に対する姿勢の違いが浮き彫りになった。
アセス法と条例によると、評価書には前段階の準備書や方法書に添付した書類も添えなければいけないが、今回の評価書提出前に審査の目は通っている。同課は「書類そのものは審査できない状況ではない。(不足書類は)準備書に付いているので、インターネットでもダウンロードできる」と話し、当初は補正を求める意思がなかったことを明らかにした。しかし「環境政策課の、決められたものは付いていなければならないとの考えに沿って補正を出した」と話し、環境政策課に促される形で補正を出したと説明した。
一連の経緯についての会見時間は、環境生活部長が30分に対し、土建部は部長ではなく海岸防災課が対応してやく4分半で終了し、対照的な対応となった。詳しい説明を求める記者らが同課入口で再び取り囲み、さらに十数分間質問が浴びせられる一幕もあった〉
この記事を読むと、土木建築部は評価書の不備に気付かなかったばかりか、欠落部分をインターネットから補おうとしている。なんとまあ沖縄防衛局に対して親切なことか。同時にそれは、自分たちのミスを誤魔化そうというものでもあったろう。
環境政策課に促されて〈補正を出した〉というが、受理手続き完了は撤回していない。12月28にさかのぼって「年内提出と受理」が成立したという体裁を取りつくろうために、県の土建部は自他のミスを〈重大な瑕疵ではない〉と居直っている。こういう土建部の姿勢は、この先の埋め立てに関する評価書の審査にも影響する。
一般市民が県に様々な申請をするとき、書類の不備があったら突き返されるはずだ。必要書類をそろえるために、あちこちかけ回って難儀をした人は多いだろう。それに比べて、沖縄防衛局に対しては不備があっても受理するという、この対応の違いは許し難い。政府・防衛省に毅然とした対応ができなければ、先は見えている。仲井真県当局は県民の厳しい目が向けられていることを自覚すべきだ。