今年の夏、父の13年忌を行った。父は60代後半になって筋萎縮性側索硬化症(ALS)を患い、14年の闘病生活を送った。
右足からマヒが始まったので、下半身が先に動かなくなり、写真の頃は車いすに乗っていた。犬や猫を飼うのが好きで、この頃はまだ愛犬にエサをやることができた。
大きな雌の秋田犬だったが、犬の表情もうれしそうに見える。懐かしい情景だ。
このあと父は上半身も動かなくなり、呼吸ができなくなって入院し、気管切開をして人口呼吸器を付けた。
親切な医師や看護師にめぐりあえて病院で長く闘病生活を送ったが、イスラエル軍によって破壊されたガザの病院の惨状を見ると、父のことを思い出し、病院を攻撃することの犯罪性に怒りが込み上げる。
移動しろ、避難しろ、と言われても、体を動かせない人も数多くいるのだ。燃料がなくなり、電力が止まれば、人工呼吸器も使えなくなる。そのために死んでいく患者もいる。
保育器が使えず、ベッドに並べられた新生児たちの映像は、世界に衝撃を与え、悲痛な思いと怒りを巻き起こした。
沖縄戦の時もそうだったが、逃げている途中、避難所や破壊された建物、道端などで出産せざるを得なかった母親もいるだろう。産湯を使うこともできないまま、死んでいった赤ん坊もいるはずだ。
病院から武器が見つかったと宣伝し、ハマスの拠点があったと強弁しても、イスラエルが犯した大罪は世界中から非難を浴び、反イスラエル感情を燃え立たせる。
今イスラエル軍がガザで行っているのは、ハマス殲滅だけでなく、市民への無差別攻撃であり、大虐殺である。これ以上死傷者を増やすことは許されない。
イスラエルは即刻攻撃を停止し、ガザ市民救済のために燃料や食料、医薬品などの市内搬入を全面的に認めるべきだ。日本政府もそのために力を尽くすべきだ。