25日は埋め立てに向けた護岸工事着工から5年を迎え、土砂の陸揚げが行われているK9護岸の近くで海上集会開かれた。カヌー36艇、抗議船8隻に乗った市民が、強行が続く辺野古新基地建設に反対し、海上から抗議の声を上げた。
カヌーチームは午前9時12分頃に瀬嵩の浜を出発し、K9護岸の近くに着くと、全国から寄せられた横断幕をフロートに取り付けた。新型コロナウイルスの感染拡大で、沖縄に来たくても来られない人も多いと思う。こういう形で「新基地建設反対!」の思いを示させてもらっている。
K9護岸ではランプウェイ台船2隻が接岸し、土砂の陸揚げを行っていた。
それを前に午前10時11分頃から海上集会が始まった。最初に、ウクライナをはじめ世界各地で戦争の犠牲になった人たちを悼み、黙とうを行い鐘が鳴らされた。
抗議のシュプレヒコールのあと、ヘリ基地反対協代表の仲村善幸名護市議、オール沖縄会議事務局長の福元勇司さんの挨拶があった。
参加者による「一言メッセージ」が続いたが、新基地建設に反対する熱い言葉が次々と発せられていた。
「辺野古ぶるーの歌」が流されたあと、「声明文」が読み上げられた。
集会の最後にカヌーメンバーがフロートを越えてK9護岸のランプウェイ台船に迫り、近くから土砂陸揚げに抗議した。
沖縄の「日本復帰」50年ということでヤマトゥのメディアもいくらか来ていたが、大半のヤマトゥンチューは辺野古のことに無関心で、沖縄に米軍基地が集中していることも自明のこととしてすませるのだろう。
だが、この50年でヤマトゥも沖縄も大きく変わっている。50年前、中国、韓国、台湾はまだ発展途上国と呼ばれていた。今はどうか。80年代後半のバブル景気を頂点に、日本=ヤマトゥの凋落は著しい。時代も東アジアの状況も変わったのだ。
日本が軍事予算を2倍にしたところで、もはや中国との差は開くばかりだ。あと15年、辺野古新基地建設を続けたとして、その時東アジアの状況はどうなっているだろうか。
戦争の形態もドローンやロボット兵器、携帯可能な小型ミサイル、電子戦が今以上に大きな比重を占めているだろう。滑走路が短く、輸送機を使った後方支援に不向きな辺野古新基地が、どれだけ実戦に役立つだろうか。米軍は普天間基地を使い続けるつもりではないのか。
陸上覇権から海上覇権へと野望を抱く中国がそんなに心配なら、辺野古新基地建設に要する予算と時間を海上自衛隊と海上保安庁の予算拡充に回した方がいいのではないか。私が言うのもなんだが、そういう議論が自民党や右翼から起こらないのが不思議だ。それほど日本は米国の属国と化し、「平和ボケ」しているということなのだろう。
いざ米中対立が極度に達すれば、沖縄は日本からトカゲのしっぽのように切り捨てられる。同時に、日本は米国から簡単に切り捨てられるだろう。日本=ヤマトゥもまた、米国にとってはトカゲのしっぽでしかない。
中国・日本・米国のはざまで生きざるを得ない沖縄は、これからどのような道を選択しないといけないのか。ロシアのウクライナ侵略の状況を見ながら日々考えるのはそのことだ。そのうえで辺野古新基地建設の愚かさは自明である。
海上保安官という国家権力の末端的実力行使機関を使って、今日も税金が無駄に使われ、沖縄の海が破壊されている。もう二度ともとに戻らない。
軍事拡大の波に飲み込まれるとき、沖縄と日本に待っているのは暗く厳しい将来でしかない。外交で対立を解決する方向にしか活路はない。そのための力を育てるべきなのだ。
辺野古漁港のそばに咲くデイゴの花が、青空に映えていた。デイゴは沖縄の県花である。