以下の文章は、「監視社会ならん!市民ネット沖縄」が発行している『監視社会ならん!通信』36号(2001年5月10日発行)に寄稿したものです。
5月1日に名護市民会館周辺で東京オリンピックの聖火リレーが行われました。沖縄では11市5町で新型コロナウイルスのまん延防止等重点措置が実施されていて、名護市も対象地域です。名護市で65歳以上の高齢者に新型コロナのワクチン接種が始まったのは5月12日。市民の安全を二の次にし、厳戒態勢で行われた聖火リレーでした。
名護市では、西海岸で聖火リレーが行われる一方で、東海岸では辺野古新基地建設が進められています。西では巨額の放映権料を当て込んだオリンピック利権。東では膨らみ続ける工事費・警備費を当て込んだ辺野古利権。反対多数の世論を踏みにじり、市民の命と安全をないがしろにして、東西で醜い利権の構図が露出しました。
今回の聖火リレーは、公道での実施が不可能となり、沖縄島では名護市と糸満市の二会場で行われました。名護市が選ばれた背景には、来年2月に予定されている市長選挙への思惑が見え隠れします。美謝川の河口切り替え工事が間近に迫るなか、渡具知市政の継続のために、政府は市民にあきらめと無力感を与えようと工事の加速を狙っています。
現在、辺野古側の工区は海面から3・1メートルの高さまで埋め立てが進みました。大浦湾側は水深が深いので、土砂投入の進捗を示す数字だけを見れば小さく見えます。しかし、すでに辺野古側では海が破壊され、生物も死滅させられました。
大浦湾ではK8・K9護岸にスパッド台船が設置され、土砂を積んで接岸できるランプウェイ台船の数が増えています。新たな陸揚げ場として、N2護岸の建設も計画されています。海上には土砂を保管するため大型のデッキバージが設置されました。
土砂を積み込む本部港塩川地区では、ベルトコンベヤーを使って積み込み速度を上げようとしています。名護市安和の琉球セメント新桟橋と合わせて、埋め立て用土砂の積み込み現場での阻止・抗議行動が重要です。
新型コロナウイルスの感染拡大は、変異株への置き換わりにより、深刻な状況になっています。大阪府では医療体制が崩壊し、感染しても入院できず、自宅で死亡する患者が相次いでいます。こういう状況で医師や看護師を引き抜き、オリンピックを強行すれば、感染者・死亡者が増大するのは明白です。
日本政府はオリンピックと辺野古新基地建設を早急に断念し、予算と人を新型コロナウイルス対策に回すべきです。大人数が集まっての阻止・抗議行動は難しい状況ですが、感染症対策を徹底したうえで、今できる行動に力を尽くしましょう。
また、コロナ対策を口実とした、政府による市民の自由と権利の制限、監視社会の強化、緊急事態条項の制定などの動きにも反対しましょう。負きてーないびらんどー!