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Channel: 海鳴りの島から
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首里城再建のためにオキナワウラジロガシを使う必要はない

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 3月5日付琉球新報文化面に〈首里城再建に使う木材に異議〉という見出しで、安里嗣淳氏の論稿が掲載されている。

 首里城再建のためにオキナワウラジロガシを使用することについて、縄文人の食料となった樹種の希少性、「ストック消費型」の伐採が自然環境破壊であること、「すべて当時と同じ材木使用」という発想の問題を挙げ、循環型林業の木材を使用することを提案している。考古学者からの貴重な問題提起である。

 首里城再建について沖縄メディアの扱いは、龍柱の向きや第32軍壕の公開については熱心だが、問題はそれだけではないはずだ。国主導のあり方や取り組みの拙速さ、県民の主体的な関わり方の問題なども議論されているが、オキナワウラジロガシの問題についても広く議論すべきだ。

 高江のヘリパッド建設に反対し、N4やN1の建設現場に通っていた頃、ヤンバルの森を何十年も歩いてきた人たちの姿を目にした。そういう人たちの声はメディアでほとんど取り上げられない。ヤンバルや石垣の森の環境保護に当たってきた人たちの意見も、メディアは積極的に取り上げるべきだ。

 そもそも、火災で首里城を焼失させる不始末がなければ、植林による県産木材の確保を待つこともできた。自分たちの過ちを棚に上げ、県産木材の確保を前面に出し、希少なオキナワウラジロガシの大木を伐採するのは、計画性のない場当たり的な対応ではないか。首里城再建という大義名分があれば、ヤンバルや石垣の森の破壊は許されるのか。

 消失した首里城正殿や北殿では、鉄筋コンクリートも使用されていたはずだ。完全な復元ではなかったのであり、そういう実態も県民に広く知らせたうえで、木材の調達について検討すべきだ。

 

 


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