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Channel: 海鳴りの島から
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首里城再建の木材としてオキナワウラジロガシを伐採していいのか

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 実家のブーゲンビリアが満開となっている。紫の部分は花びらではなく苞。沖縄とはいえこうやって咲かせるには、それなりの手入れがいる。小まめに剪定をしないといけないが、トゲが鋭いのでなかなか厄介なのだ。蜂が巣をつくることもあれば、ハブの抜け殻が引っかかっていることもある。

 11月26日に開かれた国の「首里城復元に向けた技術検討委員会」で、焼失した首里城の再建に向け、〈正殿の天井を支える「小屋丸太梁(こやまるたばり)」という部分に国頭村と石垣市産の木材、オキナワウラジロガシを使うことが確認された〉(11月26日付沖縄タイムス電子版)という。

 国頭村と石垣市から8本の木が探し出されており、そのうち6本が使用されるという。記事には候補になっている木の詳細が記されていないので、樹齢や大きさ、どのように自生しているかなどは分からない。しかし、かなりの大木であるのは間違いないであろう。

 ヤンバルの森に対して、やれ国立公園だの、世界自然遺産だのと、その価値をたたえる記事を目にしてきた。そういう場所からオキナワウラジロガシの大木が切り出されることに、沖縄のマスコミ関係者は何の疑問も抱かないのだろうか。私が記者なら、候補となった木について具体的に調べ、それが保護の対象とならないか、ヤンバルの自然に詳しい環境保護団体や個人にも意見を訊くのだが。

 琉球王府の時代と違い、現在自生しているオキナワウラジロガシは、将来の再建に向けて管理してきたわけではないだろう。自分たちの失態で首里城を炎上させ、その再建のためにと、何十年、何百年と生きてきたオキナワウラジロガシを伐採する。記事を読んでから疑問と不快感が去らないのだが、首里城再建に県産木を、という奇妙なナショナリズムを満足させるために、安易に伐採することは許されない。

 国と沖縄県、マスコミは候補となっているオキナワウラジロガシについて情報を公開し、地域住民やヤンバルの森の保護活動に取り組んできた環境保護団体、個人もまじえて現場で調査し、議論すべきだ。龍柱の向きばかりがマスコミの関心事であっていいのか。この1年余の首里城ナショナリズムの煽り立てには、いい加減うんざりしている。

 


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