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Channel: 海鳴りの島から
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飲酒運転が裁かれるのは当然のこと、密約にメスを

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 米軍人・軍属が公的行事で飲酒し、交通事故を起こした場合、これまでは公務扱いにされて第一次裁判権は米国にあり、日本側は裁くことができなかった。12月16日、日米両政府は日米地位協定の運用見直しに合意し、公務扱いをやめて日本側が裁けるようになった。同日、玄葉外務大臣がそのことを仲井真知事に報告している。
 12月17日付琉球新報は、このことについて以下のように記している。

〈政府はこれまで、米軍人・軍属の飲酒運転による事故が公務中として扱われた事例はないとしており、事実上、死文化していた56年の日米合同委員会合意が55年ぶりにようやく見直された〉

 なんのことはない。もともと〈死文化〉していたのだから、米国からすれば見直しても痛くも痒くもない。むしろ、そうであるにも関わらず、55年もほったらかしにされてきたことが異常ではないか。
 飲酒運転をして事故を起こせば、今どき公務員なら一発で懲戒免職になる。公的行事の帰りなら公務に見なすというのは、飲酒運転をすすめているようなものだ。それが是正されるのは当たり前のことなのに、さも大きな成果のように打ち出すこと自体、米国に対する日本政府・外務省の卑屈な姿を表している。
 琉球新報の記事は、今回の見直しの背景に、普天間基地の〈県内移設に理解を求める狙いがありそうだ〉と指摘している。まさにその通りだろう。だが、飲酒運転を公務扱いする非常識を見直すのは、普天間基地「移設」とは関係なく当然やるべきことであり、県民が有り難がるほどのことではない。むしろ、日本側に裁判権がわたっても、それがどれだけ行使されるか注意しなければならない。
 吉田敏治著『密約 日米地位協定と米兵犯罪』(毎日新聞社)では、日本の当局が〈日本にとって著しく重要と考えられる事件以外については、第一次裁判権を行使するつもりがないと述べることができる〉という、米兵犯罪の裁判権を放棄する密約の存在が指摘されている。
 こういう密約がある限り、今回の見直しの実効性も疑わしくなる。野田政権は小手先の運用改善ではなく、民主党がマニフェストで謳ったとおりに日米地位協定の改定を提起し、隠された密約にメスを入れるべきなのだ。


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