訪米中の森本敏防衛大臣が、日本時間4日朝にオスプレイに試乗している。テレビ各局の報道を見ると、オスプレイが「想像していた以上に飛行が安定」していることを強調する森本大臣の発言を中心にすえているのは一緒だが、それ以外の所では少しずつ内容が違っていて、視点の置き所が興味深い。
http://www.tv-asahi.co.jp/ann/news/web/html/220804014.html
http://www.news24.jp/articles/2012/08/04/10211059.html#
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye5098411.html
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120804/k10014074201000.html
NHKのニュースでは「私が乗っただけで沖縄の人たちを説得できるとは思わないが…」という森本大臣の生の声が報じられている。米国側はわざわざワシントン市内を低空飛行して安全性を強調したようだが、それを受けて森本大臣が、騒音について市街地に大きな被害を与えないだろう、と述べたところで、納得する沖縄県民(とりわけ宜野湾市民)はほとんどいない。
自分の試乗が「沖縄の人たち」に説得力を持たないことは、森本大臣も自覚しているわけで、軍事の専門家としての森本大臣自身の関心をのぞけば、マスコミ向けのパフォーマンス以上の意味はなかった。それでもこういう演出をせざるを得ないのは、森本大臣が「沖縄の人たちを説得」することに手詰まり状態となっていることを示している。
一方で、米国のパネッタ国防長官は、〈「オスプレイは、すでに、アメリカ国内をはじめ世界各地で飛行しており、安全性には強い自信を持っている」などと述べ、オスプレイを普天間基地に配備したあと、ことし10月から本格的な運用を始める計画に変更はないという認識を示し〉(NHK)ている。
すでに結論ありきであり、こういう姿勢の米国が出すオスプレイの墜落事故調査結果が、どういう内容になるかは自ずから明らかだ。
そういう米国の意向に、森本大臣や野田首相がNOと言えないばかりか、むしろ積極的に忠実さを示そうとするのもまた、容易に予想できる。森本大臣は来週9〜11日に来沖する方向で調整しているようだが、再び米国のメッセンジャーとしての役割を果たそうというのだろう。
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-195103-storytopic-3.html
しかし、来沖した森本大臣が、オスプレイは「想像していた以上に飛行が安定」していたと語れば語るほど、日本政府と沖縄の関係は、森本大臣が「想像していた以上に」不安定になっていくだろう。そのときに、オスプレイ配備による「抑止力」向上を印象づけるため、尖閣諸島を火種にしようという動きが強まることも考えられ、注意が必要だ。
明日5日に予定されていたオスプレイ配備反対の県民大会は、台風のため延期となった。パネッタ国防長官の発言を見ると、今月中には事故の調査報告を日本に伝え、9月の初旬には岩国での試験飛行を開始しそうだ。9月の中旬から下旬には、沖縄への移動が強行されかねない。
県民大会の開催は元より、それ以外にも多様な方法で、オスプレイ配備阻止の取り組みを進めていきましょう。今は午後8時頃まで明るいのだから、勤め人が参加しやすい週末の午後6時以降、普天間基地のゲート前で波状的に集会を開いていく取り組みも必要ではないか。