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北部市町村会の「辺野古移設撤回を求める決議」

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 沖縄島北部12市町村で構成される北部市町村会が、7月31日に「辺野古移設撤回を求める決議」をあげている。

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-194858-storytopic-252.html

http://article.okinawatimes.co.jp/article/2012-08-01_37089

 決議文の全文は以下の通り。

 米軍普天間飛行場代替施設として名護市辺野古が、平成8年の日米特別行動委員会(SACO)で合意がなされたが、16年経過した今なお実現を見ることはなく、普天間飛行場の危険性は放置されたままである。
 沖縄の民意は、日米両政府が辺野古移設を合意した当時とは全く異なる情勢にあり、明らかに辺野古への移設を受け入れることはできない状況にある。
 日米両政府が辺野古移設を強行に進めることは、北部地域の声を無視し、北部地域に過剰な危険と負担を押し付けることにほかならない。
 よって、北部市町村会は、北部12市町村住民の生命と財産、安心・安全及び生活環境を守る立場から、日米両政府に対して、北部地域における基地負担軽減と普天間飛行場の辺野古移設の撤回を求める。
 以上、決議する。
 平成24年7月31日
 宛先 内閣総理大臣、外務大臣、防衛大臣、沖縄及び北方対策担当大臣、米国大統領、駐日米国大使

 北部市町村会がこのタイミングで「辺野古移設撤回を求める決議」をあげたことは評価できる。
 沖縄県防衛協会北部支部の辺野古「移設」要請活動や、島袋吉和前市長と宮城安秀名護市議が右翼グループの集会に参加しようとしていることなど、2014年の名護市長選挙も視野に入れて、辺野古「移設」推進派は動きを活発化させている。日本政府がこのような「移設」推進派、右翼グループの動きを利用し、辺野古「移設」にむけて画策することが予想されるなか、今回の決議はそのような動きに痛打を浴びせるものだ。

 一方で、2006年4月に北部市町村会が、辺野古「移設」をめぐって名護市と政府が交わした「基本合意」を支持する声明を出したことに、同会は深く反省すべきだ。決議文の中に〈沖縄の民意は、日米両政府が辺野古移設を合意した当時とは全く異なる情勢にあり〉という一節があるが、〈民意〉のとらえ方が牽強付会である。
 辺野古「移設」問題が起こって以来、メディアの世論調査では、「移設」反対の県民意思は常に6〜7割あった。そもそも、辺野古「移設」に関して名護市民の民意は、1997年12月の名護市民投票で示されている。それを踏みにじったのが比嘉鉄也元市長であり、その後継者となった故岸本建男元市長、島袋前市長らであった。
 辺野古「移設」の民意を言うなら、もっとも尊重されるべきは名護市民投票で示された民意だったはずだ。それを無視してきた点においては、政府だけでなく北部市町村会の、「移設」を容認した保守系首長たちも同罪である。

 また、〈日米両政府が辺野古移設を強行に進めることは、北部地域の声を無視し、北部地域に過剰な危険と負担を押し付けることにほかならない〉という一節も、今に始まったことではない。2006年4月の段階でも〈北部地域に過剰な危険と負担を押し付ける〉ものであったことは同じである。嘉手納より南の米軍基地を返還し北部に集約することは、北部の軍事要塞化であるという批判が、当時から多くの人によってなされていた。それを知らぬふりして、政府がばらまく振興策というアメをしゃぶろうとしていたのが、北部市町村会の多数を占める保守系首長たちだったのだ。

 政府と名護市の「基本合意」で示されたV字型2本の滑走路が、MV22オスプレイの使用を前提としたものであるという指摘も、当時からあった。北部市町村会の首長たちに、その認識がなかったというのだろうか。
 北部市町村会が当時から辺野古「移設」に反対していれば、今日の状況にも変化があっただろう。オスプレイの沖縄配備が強行されようとしている今日の状況を作り出した責任の一端は、かつて辺野古「移設」を容認していた北部市町村会にもあるのだ。

 北部市町村会には、そのことへの自覚と反省が必要である。その上で、オスプレイ配備反対と辺野古「移設」反対に不退転の姿勢を示すべきだ。同時に、高江のオスプレイパッド建設にも反対の決議をあげてもらいたい。〈北部地域に過剰な危険と負担を押し付ける〉という点で、辺野古「移設」もオスプレイパッド建設も同じである。
 オスプレイの訓練場が建設、整備されることは、オスプレイが北部上空を飛び回ることに直結する。〈北部12市町村住民の生命と財産、安心・安全及び生活環境を守る立場から〉北部市町村会は、オスプレイの配備と同時にその訓練場の建設、整備にも率先して反対すべきだ。

 


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