7月25日に防衛省が、MV22オスプレイの安全性を検証するという「専門家チーム」を立ち上げた。〈航空自衛隊のパイロットや航空機事故を扱う国土交通省の専門から16名で構成され〉るという。
http://news.tbs.co.jp/20120725/newseye/tbs_newseye5089808.html
初会合のニュース映像を見ると、制服姿の自衛隊員がずらりと並んでいる。こういう構成の専門家チームが出す結論は、自明ではないか。一人か二人慎重論者を入れて体裁をつくろうだろうが、多数を占めるのは自衛隊員や国土交通省の役人など配備推進派であり、米国・米軍の意に背く結論を出すわけがない。
米軍が都合の悪い資料や事実を隠しても、日本の「専門家チーム」にそれを暴く能力もなければ、そんな意思もありはしない。米軍が取捨選択して出す資料を分析した振りをし、米軍の主張する安全性を追認する。最初からやらせなのは分かりきっているが、少しでもそれを誤魔化すために「専門家」なる肩書きを使う。あまりにも白々しく、まさに茶番劇としか言いようがない。
沖縄で本格運用を始めるまで、オリンピック期間をはさんで時間稼ぎをし、オスプレイ配備反対の世論が沈静化するのを待つ魂胆だろう。結論ありきでアリバイ作りにのみ熱心な野田政権が、オスプレイは安全です、といくら言ったところで、実際に飛行ルートの下で暮らす住民の不安や危機感は消えはしない。
オスプレイの安全性を住民に説明する時間は、90年代半ばから政府・防衛省にはいくらでもあった。にもかかわらず、オスプレイの沖縄配備を隠蔽し、ごまかしを続けてきて、岩国基地への陸揚げが終わってから、安全性を検証する「専門家チーム」を立ち上げるという。そういう政府・防衛省の姿勢自体が、どれだけ欺瞞的で、沖縄県民を愚弄するものであることか。
もし政府・防衛省がオスプレイは安全である、と考えていたなら、沖縄配備をぎりぎりまで隠すこともなかっただろう。抽象的な数字を並べて「安全性」を強調し、森本大臣が試乗したところで、いざ事故となれば犠牲を強いられるのは沖縄県民であり、全国の飛行ルートの下で暮らす住民である。
オスプレイの沖縄配備は、在沖米軍基地の「整理縮小」どころか、その機能をさらに強化し、基地の固定化を進めるものでしかない。嘉手納基地にはF22の再配備も行われようとしている。沖縄県民に負担と犠牲を強要し、米国・米軍の東アジアにおける軍事的覇権を強化・拡大しようとする策動と、それを支える野田政権の対米隷従姿勢に、強く反対しましょう。