７月２２日付琉球新報に〈経済会議不参加／命と財産守る責任再考を〉という見出しの社説が載っている。８月５日に開かれるＭＶ２２オスプレイの県内配備に反対する県民大会に、県経済団体会議が〈組織参加しないことを確認した〉ことに対し、〈同会議の姿勢は残念と言わざるを得ない〉とし、〈県民大会への参加を再協議してもらいたい〉とする内容である。
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-194205-storytopic-11.html
社説の趣旨にはうなずけるが、ここで注意しなければならないのは、同会議の議長である國場幸一県商工会議所連合会会長のこれまでの言動から、単なる不参加以上の意味はないか、ということである。
國場幸一氏は沖縄を代表するゼネコンである國場組の代表取締役社長であり、２０１１年８月１日付で県経済団体会議の議長に就任した。
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-179244-storytopic-96.html
國場氏はまた、沖縄県防衛協会の会長も務めている。同協会の主要役員には仲井真弘多知事や下地幹郎衆院議員などの政治家、県経済界のリーダーが名を連ねている。
http://www.okiboukyo.jp/sub2/sub2.html
親泊氏は今年３月に訪米し、普天間基地の名護市辺野古への「移設」を推進するため、米政府などに要請行動を行った。要請行動には辺野古区長も同行している。
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-188153-storytopic-3.html
また、今月８日には米議会下院外交委員会に〈米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設推進を要望する書簡を提出〉している。
http://article.okinawatimes.co.jp/article/2012-07-08_36083
仲井真知事でさえ「県外移設」を主張している沖縄にあって、辺野古「移設」を進めようとする勢力の中心となっているのが國場氏である。
國場氏が辺野古「移設」推進に熱心な理由は今さら言うまでもない。ジュゴンが住む海を埋め立てて造られる新基地の建設工事を、國場組を中心とした県内建設業者で受注したいからだ。戦前は小禄の海軍飛行場、戦後は米軍基地と國場組は、沖縄の軍事基地建設を請け負うことで成長してきた。
沖縄の基地利権と切っても切れない企業のトップとして、國場氏は普天間基地へのオスプレイ配備を内心では奇貨ととらえ、普天間基地の辺野古「移設」を進める材料に使いたいのではないか。そのために経済会議を県民大会に参加させないよう動いたのではないか。オスプレイ配備反対で沖縄が一つになるのを内側から壊していく分断工作として、むしろ積極的に不参加を決めたのではないか。
７月２０日の本ブログで、東開発代表取締役会長の仲泊弘次氏が支部長を務める沖縄防衛協会北部支部が、２０日に沖縄防衛局や沖縄県を訪ね、普天間基地の辺野古「移設」の早期実現を求めて、同支部総会の決議文を提出したことに触れた。県防衛協会会長の國場氏と意を通じての行動だろう。
オスプレイ配備問題にマスコミの話題は集中しているが、その裏でオスプレイ配備を利用し、辺野古「移設」を進めようという推進派の動きが活発化していることに注意しなければならない。
動きは國場組や東開発などの建設業・経済界だけではない。右翼グループも８月８日に名護市民会館で集会を開き、辺野古「移設」を進めようと画策している。
https://docs.google.com/file/d/0B9TqZd5_2FaCQ1p3YURsZW9sLWM/edit?pli=1
こういう集会にまで顔を出すところを見ると、島袋吉和氏は次期市長選挙を狙っているのだろう。辺野古区出身の宮城安秀市議を使ってテント村の反対運動を攻撃し、稲嶺進市長の足を引っ張ろうという意図が見え見えである。日本政府や辺野古「移設」推進派にとって最大の障害となっている稲嶺市長を追い落とすことを視野に入れて、この手のキャンペーンも活発化していくはずだ。
日本政府や米国・米軍の手助けをし、それに依存して甘い汁を吸おうとする者たちが、オスプレイ配備、尖閣諸島問題、普天間基地の辺野古「移設」を結びつけて、沖縄を内側から分断する策動を強めていることに、警戒しなければならない。野田政権は県内のこのような動きを利用しながら、沖縄への懐柔策と強硬策をくり出してくるだろう。８月５日の県民大会成功は元より、高江オスプレイパッド建設、辺野古新基地建設を許さず、普天間基地早期返還を実現するために、いま重要な時を迎えている。