22日午前8時頃、MV22オスプレイを積んだ民間の貨物船が韓国・釜山港を出港した。23日には岩国基地に陸揚げの予定とされている。日本政府は沖縄の配備反対の声を無視し、8月にオスプレイ配備を強行する構えだ。
それだけではない。森本敏防衛大臣は、22日のテレビ朝日の番組で、〈オスプレイを安定的に運用するため、普天間基地を名護市辺野古へ移設することが必要だと強調〉している。
http://www.tv-asahi.co.jp/ann/news/web/html/220722006.html
森本大臣は本音をあけすけに語っている。問題の焦点をオスプレイの危険性から普天間基地の危険性にすり替え、沖縄県民の反発や不安、危機感を逆手に取って、市街地にある普天間基地の「危険性除去」のために辺野古へ「移設」し、オスプレイを安定的に運用すべきだ、と主張している。
オスプレイ配備に反対する県民世論を踏みにじり、配備を強行するばかりか、さらに普天間基地の辺野古「移設」まで一気に進めようという、二重三重に県民を愚弄する発言である。まさに米政府の代弁者としか言いようがなく、米軍の利益を実現することしか森本大臣の頭にはないようだ。
森本大臣はさらに尖閣諸島をめぐって次のような発言も行っている。
http://www.tv-asahi.co.jp/ann/news/web/html/220721032.html
今の時期に東京都が尖閣諸島で上陸調査を行い、それに石原知事も参加すれば、中国が猛反発して日中間の緊張が高まるのは必至だ。森本大臣はそれを承知で、むしろ尖閣諸島周辺で緊張が高まれば、在沖海兵隊の「抑止力」が強調できて、オスプレイ配備に追い風となる、と計算しているのだろう。
それは米政府・軍部の意向を察しての計算でもあるはずだ。中国に対抗し、東アジアに軍事的重点を置く米国にとって、日中間に適度な緊張が生じることは、日本の対米依存を深め、思いやり予算や地位協定上の特権を維持するうえで好都合である。さらに、議会からの軍事予算削減圧力に対抗する論拠ともなる。
尖閣諸島問題をオスプレイ配備や辺野古新基地建設と結びつけて、沖縄における米軍や自衛隊の強化を進める口実に利用する動きが活発になっている。森本大臣はその先兵であり、この間の発言を見ると、沖縄県民の反発や犠牲など歯牙にもかけていない。「米国日本州」の防衛大臣としか思えず、沖縄側もそれを踏まえて対応しなければならない。