9日(月)は実家の台風対策をしたのだが、名護から今帰仁に向かう途中、マリー道を通るとガット船・第二十八旭丸が、塩川港で積んだ砕石を載せたまま羽地内海に避難していた。台風8号は先島へ向かうようだ。波が収まりしだい同船は大浦湾に入り、K9護岸で砕石を陸揚げする。
オイルフェンスや汚濁防止膜が再設置され、捨て石の投下が再開されれば、K4護岸とN3護岸の間は1~2日で埋められ、両護岸がつながるだろう。早ければ来週には辺野古岬南側の海域が、N5-K4-N3の三つの護岸で囲い込まれてしまう。
カヌーチームの多くのメンバーは、沖縄防衛局が打ち出している8月17日の土砂投入よりも、護岸で囲い込まれる前に、翁長知事が埋め立て承認の撤回を行うように声をあげてきた。護岸で閉めきられて潮の流れが止まれば、内側の海洋生物に致命的な打撃になる。それをまず食い止めるように訴えてきた。
いま撤回をしても裁判で負ける、撤回の効力は一時的なもの、そういう意見があるのは承知で、それでも撤回のタイミングを逸すれば、辺野古の現場で抗議してきた市民だけでなく、それまで翁長知事を支持してきた県民も失望し、あきらめムードが拡大していくだろう。
護岸で囲い込まれても、土砂が投入されても、自らの公約である埋め立て承認を撤回しない翁長知事に、沖縄県民がどのような印象を抱くか。翁長知事やその側近、ブレーン、政党幹部らの現状を見ると、そのことへの想像力、危機感が乏しいようだ。あるいは意図的に目を背けているのか。
9月の統一地方選挙や11月の県知事選挙から逆算し、選挙に有利な条件づくりとして撤回を利用しようという思惑が透けて見える。8月17日の前に撤回のカードを切るのは早すぎる。選挙中まで撤回の効力を引き延せるようにすべきだ。そういう「政治の論理」が先に立ち、土砂投入には何もせず、9月、11月に撤回しても時は遅い。
翁長知事が本気で辺野古新基地建設を止めようと思うなら、行政権限の行使だけでなく、何よりも県民の熱い・厚い支持を作り出さなければならない。そのためには決断力、行動力を具体的に示して、反対運動の現場にも足を運び、リーダーとしての姿を見せる必要がある。それをやらずに勇ましい言葉だけを並べても「話くわっちー」と失望感が広がるだけだ。
一方で、翁長知事への批判を強めるだけで、辺野古の海やゲート前、各採石場、塩川港など現場での抗議・阻止行動をどう作り上げていくか、自分がどう参加していくかを追求しなければ、話にならない。インターネット上で翁長知事を批判するのは簡単だ。では、自分は、何をどうするのか。夜郎自大になってもしようがない。
翁長知事が撤回をして工事を一時的に止めても、そのあと 再開されたらどうするのか。工事を強行しているの安倍政権であり、現場での抵抗と全国的な反安倍政権、辺野古新基地建設阻止の運動が強まらなければ、埋め立て工事は進んでいく。海に出ているメンバーは、その様子を見なければならない。
高江でも辺野古でも現場の取り組みは、人の見ていない所で準備し、行動し、片づけまでやる人たちの努力で支えられている。目先の利得を考えていたらできない、裏方の仕事を黙々とやっている人たちの姿を見ながら、言葉だけで終わってはいけない、と自戒し、励まされている。ちばらなやーさい。