以下に資料として紹介するのは、2018年3月28日に名護市議会で賛成多数で可決された意見書である。
辺野古新基地建設に伴う地質調査のデータの全面公開、活断層の有無、環境アセスメントの追加を求める意見書
沖縄防衛局は名護市辺野古の新基地予定地で実施した2014年から2015年の地質調査の報告書には、地盤の強度を示すN値「ゼロ」を示す地点が続出し、地質調査が成立しないほど軟弱地盤であることが明らかになり、さらにその付近では活断層の可能性があると指摘していることが、個人の情報公開請求や国会議員の資料請求で2018年3月に明らかになりました。
当初の設計は、その深い海底に、基礎捨て石を敷きその上に巨大なケーソン(長さ52メートル、幅22メートル、高さ24メートル、重量7,200トンの巨大コンクリート製の箱)を並べ設置する工法になっています。
県に申請された埋め立て承認願書には、軟弱地盤を想定した設計ではない事が伺えます。防衛局は自ら行った地質調査の報告書に、「構造物の安定、地盤の圧密沈下、液状化の詳細の検討を行うことが必須」と結論づけているように、今後、工法等や地盤改良等の設計変更が必要になることは明らかであります。
沖縄防衛局は、設計変更を伴うような不都合な地質調査結果を隠蔽しようとしたのではないかと疑念が持たれます。今後、防衛局は、自ら調査内容を全面公開し、県民の理解を得ることが求められます。
一方、防衛局は環境アセスメントでサンゴやジュゴンには影響が少ないと結論づけ、埋め立て工事を進めていますが、昨年の8月23日にはアメリカジュゴン訴訟において、サンフランシスコ高裁が、原告適格を認め、国防総省に対して沖縄のジュゴンの保全策について原告と協議するよう、サンフランシスコ地裁に差し戻しました。
また、IUCNのフランソワ・シマール氏(海洋専門家)は大浦湾を訪れ、「これほど多様な生態系が維持されている場所は珍しい。保全されることを願う」と言及しています。
このような国際世論や国内世論の高まりの中で、工事現場では軟弱地盤や活断層の存在という想定外の事実が指摘されています。
翁長雄志県知事は「知れば知るほど大浦湾は、奇跡の海だ」と表現しています。人類共通の沖縄の財産を次の世代へ残すために、現在行われている辺野古新基地計画に伴う工事を一時中断し、新基地建設の必要性及び生物多様な辺野古・大浦湾の海に及ぼす環境への影響を取り除くために再度徹底的に調査を行うことを要請します。
記
1.防衛省は、これまで行った地質調査のデータを全面公開し、科学的、客観的に専門家の意見を取り入れ、活断層の有無について明らかにする。その間の工事を一時中止すること
2.防衛省は、軟弱地盤の対応を県と協議する必要があり、その間の工事を一時中止すること
3.防衛省は、N値「ゼロ」を示す軟弱地盤や活断層上に構造物を設置することについて、追加の環境影響アセスメントを行い、その間の工事を一時中止すること
4.防衛省は、活断層や軟弱地盤の上に構造物を設置することについて環境等監視委員会から意見を求め、その間の工事を一時中止すること
5.沖縄県は活断層や軟弱地盤等の実態について安全面や環境面からも現場への立ち入りを求め独自の調査を行うこと
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成30年3月28日
沖縄県名護市議会