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資料:名護市議会の「米軍属に暴行殺害された市民女性に対する遺族補償を日米両政府に求める決議」

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 以下に紹介するのは、2018年3月28日に名護市議会で全会一致で可決された決議文である。

 

      米軍属に暴行殺害された市民女性に対する遺族補償を日米両政府に求める決議

 沖縄県うるま市で2016年4月に起きた女性暴行殺人事件で、那覇地裁から遺族への損害賠償を命じられた元海兵隊員で事件当時軍属のケネス・フランクリン・シンザト(旧姓ガドソン)被告について、支払い能力がない場合に日米地位協定に定められている補償の肩代わりを米政府が米軍の「被用者」ではないとして拒否していることが分かった。

 日米地位協定では、米軍関係者の公務外の事件・事故などによる賠償請求で、被害者側は米政府に賠償金を請求できる。地位協定18条6項で補償対象は「合衆国軍隊の構成員または被用者」と規定しており、ケネス被告は事件当時、米軍と契約する民間会社に雇用された軍属であり、被用者の範囲を明示していないにもかかわらず、米側はケネス被告を被用者と認めず、補償の対象外と主張している。

 米側が支払う補償金と民事訴訟で裁判所が命じた賠償額に差額があれば、日本政府が差額分を負担する「SACO見舞金」の制度もあるが、米側が補償金の支払いに応じることが条件であり、米側の対応は見舞金の適用にも影響が出てくる。

 「軍属」は日米地位協定の適用対象として明記され、米政府の要求に沿って特権が認められている身分であり、特権は確保しつつ、補償支払いの責任を果たそうとしない今回の補償拒否問題は、米政府が責任を取らない人物まで特権を与えているという日米地位協定の構造的欠陥を改めて浮き彫りにした。事件後、日米両政府は地位協定の「改定」はせず軍属の身分に関して定めた「補足協定」を締結した。その補足協定も、直接雇用でない人物を地位協定の特権が適用される「軍属」に含んでいる実態は変わらない。一方、日本政府側は間接的に雇用される者でも「被用者」に当たるとの認識を示し、解釈を巡って意見の食い違いが出ている、そのため同様の事態が起きれば、米側の補償支払い拒否という「責任回避」が再び起こる懸念が残る。

 このような米政府が遺族への補償金を支払わない、あまりにも理不尽で無責任な行為を決して許してはならない。過去における米軍絡みの事件・事故でも同様に補償されていないケースが多々あり、日米地位協定に不備があるなら改定して補償すべきである。

 よって、名護市議会は市民、県民の生命・財産を守る立場から、以下のとおり行うことを日米両政府に強く求める。

1.被告は被害者及び被害者家族への誠意ある謝罪を行うこと。

2.米政府は被害者家族への完全補償を行うこと。

3.日本政府は「SACO見舞金」制度等による被害者家族への十分な補償を行うこと。

4.日米協定の抜本的な改定を行うこと。

 

  以上、決議する。

 

 平成30年3月28日                  

                                                沖縄県名護市議会

 


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