2017年の7月から9月は、瀬嵩側のK9護岸の工事が100メートルほど伸ばしたところで一時中断したあと、辺野古側の鉄塔前の浜で取り付け道路の工事が始まった。辺野古側の浜に沿って工事用の仮設道路を造るためのもので、瀬嵩側に続いて辺野古側でも海に石材の投下が始まった。
一帯は岩場の浅瀬で、干潮時には海保のゴムボート(GB)が動けないため、保安官が岩場に立って警備し、フロートをはさんでカヌーチームと対峙する形になった。汚濁防止膜とフロートを三重に張りめぐらして海岸に石材を投下し、根固め用石材を設置する作業に対し、カヌーチームはフロートを越えて抗議をくり返した。
7月に入りどくろの絵がある浜でK1護岸の建設に向けた仮設道路の工事が始まった。新基地建設が大幅に遅れているため日本政府・沖縄防衛局は、大浦湾側から埋め立てる計画を変更し、辺野古側の浅い海域から先に埋め立てようとK1護岸の建設に着手した。
現場は松田ぬ浜から一番近い場所で、浜からも工事の様子が見える。難工事となる大浦湾側を後回しにし、工事がしやすく県民の目にもとまりやすい辺野古側の浅瀬から埋め立てることで、県民のあきらめを誘おうという意図が明らかだった。以後、年末までK1護岸建設に対する抗議が続いた。
7月下旬からはN5護岸の建設に向けた仮設道路の工事が始まった。K1護岸とつなげて辺野古側の浅瀬を囲い込む中仕切り護岸で、カヌーチームと船団は連日、複数個所で抗議を続けることになった。
2017年の沖縄の夏は例年以上に暑かった。熱中症に注意しながら、時には海に浸かって体を冷やし、海保に何度拘束されても屈することなく、炎天下で抗議が続いた。
フロートを越え、海保の警備をかわし、工事現場に迫って作業を止めたことが何度かあった。しかし、辺野古岬の作業ヤードに近いN5護岸は、次々と石材が運び込まれ仮設道路が伸びていった。
K9護岸着工のセレモニーが行われた4月25日から3カ月経った7月25日に、海上座り込み大行動が開かれた。70艇以上のカヌーと8隻の抗議船が参加し、行動を行ったK1護岸では工事が止まった。天気が悪くて午前中のみの行動となったが、夕方からは交流会も持たれた。
海から立ち上がる夏雲の下、2014年8月の海底ボーリング調査開始から4年目の夏の闘いがくりひろげられた。