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大田昌秀・大江健三郎編集『沖縄経験』1〜5号

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 5・15を前後して、だいぶ前に古本屋で買ったまま実家の本棚で寝ていた『沖縄経験』1〜5号を読んだ。大田昌秀・大江健三郎両氏の編集によるもので、1971年夏から1973年秋にかけて発行された季刊誌である(5号は発行がかなり遅れている)。沖縄の施政権返還直前から直後にかけて、政治、経済、米軍、自衛隊、沖縄戦、文化、移民、民俗、教育、福祉など、多岐にわたって論じられている。1970年代初頭の沖縄の状況を総合的に検証し、「日本復帰」の内実を批判的にとらえ返そうという編集者の意思が貫かれている。
 40年前に沖縄、日本をめぐって何が、どう論じられていたのかを知る資料の一つとして、あらたに読み返す価値がある。参考までに各号の目次を紹介したい。表紙はフランス文学者の渡辺一夫氏が描いたもので、カットは1号が儀間進氏、2号が与那覇朝大氏、3号が安次富長昭氏、4号が山元恵一氏、5号が安次嶺金正氏の手になる。巻末には編集者ふたりの編集後記が記されている。

沖縄博物誌?「みんさー」………岡部伊都子
沖縄のこころ………大田昌秀
沖縄−本土を拒絶する目−遠い、あまりにも遠いもの−………豊川善一
沖縄−われわれを悲しくさせるもの−「琉球人」という言葉の核反応を呼びかける8・15を記憶するマニフェスト−………李昇潤
正直になろう………大城立裕
《資料》読売新聞・公同会事件
コミュニケイションとしてのコザ反米騒動………儀間進
復帰過程と沖縄経済………喜久川宏
核はぬかれるか………福木詮
沖縄学における宗教研究と日琉同祖論………与那国暹
沖縄日記?………大江健三郎 
編集後記

沖縄博物誌?「フタオチョウ」………東青二
沖縄と私………大田昌秀
わが沖縄経験………木下順二
戦争体験による自衛隊批判………外間正四郎
返還協定と基地の実態………玉城真幸
基地 金網の内側から見る時………宮城悦二郎
沖縄戦の体験と自衛隊配備………宮城聰
「宿命の島」の労働者………仲吉良新
基地・軍隊・売春−売春問題に焦点をあてて−………外間米子
日本国民になる理由についての疑問………金城朝夫
祖国もまた軍事優先………宮良芳
悪霊を呼ぶ自衛隊の軍靴………平山良明
沖縄日記?………大江健三郎
編集後記

沖縄博物誌?「壺と笑い」………安岡章太郎
沖縄と私………大田昌秀
沖縄協定強行採決と沖縄の将来………池宮城秀意
沖縄の「自立」とは何か………知念清憲
文化・発想・情念−その断片的覚え書き−………新川明
「やさしい沖縄人」ということ………岡本恵徳
沖縄経験の教訓と日本問題の解決………新垣進
沖縄における政治不信と自衛隊配備反対について………島袋邦
沖縄のGIたちと反戦ショウ………宮城悦二郎
沖縄の福祉地図………我喜屋良二
基地の町コザの都市形成………田里友哲
〈詩〉主題歌・経験………牧港篤三
沖縄日記?………大江健三郎
編集後記

沖縄博物誌?「旅の御願−白い煙と黒い煙−」………押川清子
沖縄と私………大田昌秀
アメリカ人の沖縄観………山田真人
ハワイのオキナワ………比嘉正範
平和を求める心−アウシュビッツ展によせて−………米須興文
沖縄−円経済復帰の意味するもの………嘉数啓
沖縄振興開発計画のあり方………沖縄現代法研究会
沖縄の福祉問題を考えて………上江洲トシ
沖縄研究の歴史と思想………金城正篤
〈座談会〉新城島「アカムタ祭祀」をめぐって………仲松弥秀・平敷令治・湧上元雄・宜保栄治郎・宮城鷹夫・徳田安周
沖縄日記?………大江健三郎
編集後記

沖縄博物誌?「ヤマトンチューへの怨念」………栗原達男
「復帰一年」の沖縄………大田昌秀
日本人になるとき………嶋袋浩
復帰と在沖アメリカ人−金網の内側から見る時−………宮城悦二郎
バールに膝を屈することなく −沖縄大学処分再々考−………狩俣真彦
沖縄研究への視点………東江平之
海外における沖縄研究とその動向−特に米国を中心としての一九六〇年代の後半の成果−………漢那憲治
沖縄の埋蔵文化財を守ろう………高宮廣衛
海洋博と資本の論理………木畑青二
沖縄日記?………大江健三郎
編集後記

 


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