30日はぐんがちぐにち(旧暦5月5日)で、はーうがみ(泉拝み)の行事があった。祖先が使ってきた泉を清掃し、お供えをして拝むのだが、夏を前に泉が枯れないようにする意味もあったのだろう。水道が整備されない時代には、泉が集落で最も大切な場所だった。草木が茂って湧き口が詰まったり、周囲の森を切り開いて水が枯れたりすることは、あってはならないことだった。
泉に住む大ウナギは神ウナギとして大切にされた。ウナギが泉の湧き口を出入りすることで、湧き口が詰まらないようになる。だから泉のウナギは捕ってはいけない、と子どもの頃に教えられた。
岸本(きしむとぅ)や上原(ういぼろ)の人たちが使った、ヤナジガーという泉の跡を拝んでいる。かつては親せきや地域の人でにぎわったというが、今では拝みにくるのも私と母だけになってしまった。水の神なので板御香には火をつけず手を合わせた。