10日は朝、テント2に向かう途中、辺野古弾薬庫近くから大浦湾を眺めた。前日のうちに汚濁防止膜に空気が入れられ、海上に伸ばされている。タグボートにつながれて、いつでも曳航できる状態となっていた。
松田ぬ浜からはカヌー11艇が出発した。辺野古岬付近を通過し、長島の間を抜けて大浦湾に出ると、ODB(沖縄防衛局)の旗を掲げた大型の調査船が、海中の写真撮影を始めようとしていた。長島周辺では埋め立てに向けていろいろな調査が行われている。カヌーで近寄るとアンカーを上げて沖の方に移動していった。
いつもの潜水調査船は姿を見せず、この日は海中写真撮影の調査だけが行なわれていた。カヌーと抗議船がフロート外の調査地点やフロートの開口部にいたため、調査船は沖の方で午前・午後と待機を続けた。
調査船の動きに注意しながらクレーン付き台船の動きを見た。赤白クレーンの台船からはコンクリートブロックが6個まで投下されたのが確認されている。同船は午前中で投下を終えて浜の近くに移動した。
この日の主要な作業は汚濁防止膜の設置だった。メディアのヘリコプターが飛び始めた午前10時頃からタグボートが汚濁防止膜を曳いて沖の方に出始めた。かなりゆっくりとした動きで、カヌーがいる長島から安部方向に伸びるフロートの方に向かってきたので、5艇がフロートの中に入りタグボートを目指して抗議した。
汚濁防止膜の設置は始まったが、まだ長島付近や瀬嵩側の作業ヤード付近では、アンカー用のコンクリートブロックの投下も始まっていない。H鋼の設置には海底の整備も必要だ。フロート近くのアンカー設置は後回しにし、ブロック投下が終わった場所から汚濁防止膜を張り、作業の進展をメディアを通して強調している。
すでに多くの人が、この汚濁防止膜の問題点を指摘している。海面下の膜は7メートルしか下りていない。海底まで深さ40メートルの場所もあり、膜の下から汚濁水が流出するはずだ。そもそも、作業船が通るために汚濁防止膜で完全に仕切ることはできない。膜と膜の間から汚濁水が流出する。結局、沖縄防衛局は環境に配慮しているかのように見せかけているだけだ。
すでに大量のコンクリートブロックが投下され、大浦湾の破壊が進んでいる。長島周辺でカヌーを漕いでいると、透明度が高く魚も群れるこの海が破壊されるのか、とやり切れない思いに駆られる。高江では森の木々が伐採され、辺野古では海が破壊される場面を日々目にしている。目撃者であることはつらいことだ。
今日は北風が寒かった。厳しい条件の中でも、カヌーや抗議船で海に出てくるのは、これ以上沖縄に殺戮と破壊のための軍事基地を造らせたくないからだ。沖縄は二度と戦争の被害者にも加害者にもなってはならない。