4月6日(現地時間)に米国バージニア州の住宅街にFA18戦闘機が墜落した、という報道があってから間もないのに、今度はモロッコでMV22オスプレイが墜落し、米海兵隊員2人が死亡、2人が重傷を負うという事故が発生した。
http://sankei.jp.msn.com/world/news/120412/amr12041213030005-n1.htm
http://www.qab.co.jp/news/2012041234931.html
言うまでもなく、これもまた沖縄県民にとっては、他人事では片付けられない事故である。米海兵隊は今秋以降としていたMV22オスプレイの普天間基地配備を前倒ししようとしている、という報道もなされている。
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-183943-storytopic-3.html
1996年4月12日に日米両政府が普天間基地の全面返還に合意してから、今日で16年を迎える。沖縄県内に代替施設を求めるとしたために返還は進まず、「世界一危険な基地」と言われる状態が16年もつづいてきた。この間には、沖縄国際大学へのCH53D大型輸送ヘリコプターの墜落事故も起こった。オスプレイ墜落の記事に接して、沖縄の民間地域にオスプレイが墜落したら…、と不安にかられる県民は多いはずだ。
FA18戦闘機の墜落事故につづくMV22オスプレイの墜落事故は、沖縄県民にとって真の脅威は何かを如実に示している。しかし、米軍は県民の不安を嘲るかのように、事故の起こったFA18戦闘機を普天間基地に飛来させ、訓練を行っている。そのために住民は爆音被害を受け、小学校の入学式が一時中断するという事態にまでなっている。
http://www.okinawatimes.co.jp/article/2012-04-11_32329/
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-189870-storytopic-53.html
沖縄では朝から北朝鮮の人工衛星打ち上げに対して、自衛隊や行政による茶番劇が演じられている。地元紙には、軌道を外れて不規則に落下する破片はPAC3では打ち落とせない、という識者の発言が何度か載っている。当たるはずもないのにパトリオットミサイルを発射すれば、目標物から外れて自爆したパトリオットミサイルの破片が降ってくる。自爆に失敗すれば、破片どころかパトリオットミサイル本体が落下してくることになる。
もとより、政府・防衛省・自衛隊には今回、PAC3を実際に使う気はないだろう。下手に発射して性能の限界が露呈したり、事故が起こって住民に被害が出たらまずい、と考えているのではなかろうか。沖縄島・宮古島・石垣島・与那国島と大々的に自衛隊部隊が展開し、行政や学校を巻き込んで有事=戦争即応訓練を行っている段階で、すでに政府・防衛省の狙いの9割方は達せられている。自衛隊が自分たちを守ってくれている、という幻想を住民にすり込み、先島地域に部隊配備していく地ならしが進められている。
沖縄県民は心しなければならない。岩国基地や厚木基地周辺の住民など一部を除いて、ヤマトゥに住む圧倒的多数の人々にとっては、FA18戦闘機やMV22オスプレイの墜落事故、そして現在進行中の北朝鮮の「ミサイル発射」騒ぎ、PAC3配備はしょせん他人事にすぎない。しかし、沖縄県民にとっては、実害を我が身に負わされる問題である。
自衛隊やPAC3が沖縄県民を守ってくれると考えるのは、第32軍が県民を守ってくれると考えた67年前と同じ過ちを繰り返すことである。政府・防衛省・自衛隊・マスコミ・行政がたれ流す「大本営発表」を鵜呑みにしてはならない。米軍に対するのと同じように、自衛隊に対しても強化反対の声を上げて行動しなければ、琉球列島全体が軍事要塞と化し、「本土防衛」のために利用されて、再び悲劇を味わうのは沖縄県民である。