北朝鮮の人工衛星打ち上げを利用し、PAC3の広域移動、配備を進め、自衛隊の強化を狙っている野田政権の脅威煽りによって、沖縄では観光旅行のキャンセルという実害が出はじめている。
http://www.okinawatimes.co.jp/article/2012-03-30_31740/
ありもしない脅威を煽り、あたかもミサイルが沖縄に撃ち込まれ、部品が落下してくるかのような恐怖を市民に与えれば、このような反応が出てくるのは当たり前のことだ。
PAC3の射程距離は垂直方向に20?程度であり、半径20?の地域が防御されるわけではない。自衛隊基地などごく狭い範囲が守られるだけであり、市民の生活地域は守られない。そもそも分解したロケットの部品をPAC3で「撃墜」することはできないし、ロケット本体を破壊すれば、四散した部品が落下してくる。それをどうやって防ぐというのか。
PAC3を配備して市民の安全を守るというのは、PAC3の性能を知らないか、意図的にそれを隠して自衛隊の強化を図ったり、PAC3を増産して儲けようという軍事利権屋どもの詐欺宣伝である。
仲井真弘多知事も中山義隆石垣市長も沖縄・先島の自衛隊強化を望む者たちであり、政府・防衛省のPAC3配備に積極的に応えている。しかし、その結果として、沖縄は基地の島、危険な島という認識が広がれば、観光業への悪影響はさらに拡大していく。
北朝鮮の軍部は、日本が大騒ぎして実力以上に脅威を感じるなら、ミサイル実験カードの効果に満足し、自信を深めるだろう。自衛隊、米軍、北朝鮮軍ともに、騒ぎを大きくして軍部の影響力拡大を追求している点では同じである。そのとばっちりをもろに食うのが沖縄の観光業だ。2001年に起こった9・11自爆攻撃の影響を受け、沖縄旅行のキャンセルが相次ぎ、観光業は平和産業であることを沖縄県民は知った。
北朝鮮政府がいま優先すべきなのは、食糧問題への対応や市民の生活水準を上げることだろう。人工衛星打ち上げに予算をかけ、それを政治交渉のカードや国威発揚、軍部の影響力拡大に利用するのは反対である。同時に、ありもしない脅威を煽って、PAC3の広域移動訓練や沖縄島・先島への配備、自衛隊強化を一気に進めようという政府・防衛省の動きにも強く反対する。
沖縄旅行のキャンセルは、野田政権が北朝鮮の人工衛星打ち上げを脅威として煽り、マスコミもここぞとばかりにPAC3の配備を大々的に報道していることからもたらされている。仲井真知事や中山石垣市長は、それに同調することで県民・市民生活を守るどころか、むしろ悪影響を与えている。笑っているのは北朝鮮軍、自衛隊、米軍、そしてPAC3の増産を狙っている軍事産業とそれにすり寄る政治家、官僚などの軍事利権屋どもである。
マスコミはPAC3の性能をきちんと伝え、それが市民を守るかのような政府・防衛省の嘘をあばくべきだ。不安・脅威を煽った方が市民の関心を呼び、読者・視聴者が増えると考えているなら、マスコミが戦争のお先棒を担いだ戦前と同じである。