10月に入った。それでも沖縄の日差しはまだ強い。カヌーを漕ぎながら何度も頭や体に海水をかけている。
1日は松田ぬ浜からカヌー11艇が抗議に出発した。辺野古崎の岩場を抜けると、間もなく作業員とバックホーが浜に降りてきて、フロートを海に引き出すための準備作業を始めた。海上保安庁のゴムボートも集まりはじめ、海の上から作業に抗議すると同時に、作業船が来るのを警戒した。
午前中の満潮時に辺野古崎と長島の間にフロートを設置するのは予想していた。そのためにいつもより早めに出発して、カヌーと抗議船で待ち構えていた。
フロートの設置は長島側と辺野古崎側の両方から同時に進められた。海人丸でフロートを引っ張ってくると長島側から設置をはじめ、一方で辺野古崎側からは潜水士がロープを持って船に運びはじめた。二つの班に分かれてすぐに抗議行動を展開した。
これまでフロートを引っ張っているロープをつかむと、作業船は走行を止めて作業を中止していたが、この日はわざと船を蛇行運転し、カヌーに横波を当てたり、搭乗者をロープに引っ掛けて、意図的に転覆させてきた。作業船操縦者は、俺がこれから何をするかわかるよな、とうそぶき、転覆させたカヌーを見て笑っていた。さらに周りから、船を止めろ、という声が飛んでいるのを無視し、ロープにつかまっている人を引きずったまま作業船の走行を続けた。
https://www.youtube.com/watch?v=_H0_jdt08Bg&feature=youtu.be
海保のゴムボートはそのような作業船の危険な走行をいっさい止めさせようとせず、注意もしなかった。そればかりか作業の補助役を務め、フロートの再設置に手を貸していた。
ゲート前でも機動隊の弾圧がひどくなっているが、海でも力づくで作業を強行するように日本政府や沖縄防衛局から指示が出ているのだろう。戦争法案が強行採決され、次は辺野古新基地建設をこれまで以上に強権的にやってくる、という予想通りだ。
しかし、そのような暴力的な嫌がらせ、弾圧にひるんでいたら政府・沖縄防衛局の思い通りになる。3か月も海底ボーリング調査が中断したままで、夏にも本格的着工を開始する、と政府は言っていたがもう秋も深まっている。焦っているのは日本政府であり、追い詰められているからより暴力的になっているのだ。
それに対抗するためには、現場に一人でも多くの人が集まり、自ら勇気を持って行動することが一番の力になる。沖縄の歴史はいつも現場で汗を流す民衆によって切り開かれてきた。埋め立て承認を取り消すなら取り消せ、と居直って工事を強行しようとする日本政府・沖縄防衛局に対し黙って傍観していたら、沖縄はいいようにあしらわれる。うしぇらってーないびらんどー、と思うなら意地を見せなければならない。