5月9日付琉球新報朝刊(電子版)に、海上保安官5人が市民1人を抑え込んでいる写真と記事が載っていた。手前の足も海保の保安官のものなら、6人がかりかもしれない。
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-242723-storytopic-271.html
手袋を取った海保の保安官の手を見ると、拳ダコができている人が多い。空手で鍛えているわけだが、柔道や剣道など全員が武道の段を持っているはずだ。格闘術、逮捕術の訓練も積んでいるはずで、そろいのTシャツから出た腕を見てもたくましいものだ。そういう保安官たちが市民1人に5人がかりで向かうとは。陸でも得意の「制圧」をやろうというわけか。
キャンプ・シュワブのゲート前で海保の車を阻止しようとしているのは、海保の暴力的弾圧がひどいからだ。カヌーや船で海上抗議行動を行っているメンバーが何名も負傷し、船が破壊されてきた。そのひどさに怒ってゲート前のメンバーが海保への抗議を強めた。
「海の安全確保」を口にしながら、辺野古の海、大浦湾で海保がやっているのは、海底ボーリング調査を守るガードマンであり、米軍基地建設を手助けするための市民への暴力的弾圧である。海保の職員は米軍から給料をもらっているのか?
命をかけて海難救助をしている報道を見れば、市民は感動して海保を尊敬もする。しかし、いま辺野古の海、大浦湾で海保がやっていることは、米軍や埋め立て業者の下働き同然のものだ。現場の保安官の中には不満を持っている人もいるかもしれない。本来、怒りを向けるべきは海保にそういう汚れ役を強いている安倍政権だが、現実には目の前で対峙している者どうしが、嫌でもぶつかり合わなければならない。
こういう状況を早く終わらせなければならない。台風6号が沖縄に接近している。台風対策のため海底ボーリング調査の機材を片付けるのを機に、日本政府・防衛省はいったん調査作業を中断すべきだ。
政治に「唯一の解決策」などあり得ない。常に複数の選択肢を持たなければ、一つの手法の失敗が全面的な破産になってしまう。安倍政権の硬直した姿勢は政治手法として稚拙であり、沖縄に基地を押しつけるための脅迫に等しい。
海保が5人がかりで1人の市民を抑え込んでいる様子は、日本政府が沖縄にふるっている暴力を象徴する姿だ。